コロナ、年内にもワクチン接種の期待 課題は量産化

ワクチンの普及は感染封じ込めの切り札と期待される(写真はインフルエンザの予防接種)
ワクチンの普及は感染封じ込めの切り札と期待される(写真はインフルエンザの予防接種)

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界的に続いているようね。ワクチンの開発が期待されているようだけど、いつごろ接種できるようになるのでしょう。感染予防の切り札として頼れるのかな――。容易に終わりのみえないコロナ危機の解決策について、山下久江さんと大森尚子さんが滝順一編集委員に聞いた。

――新型コロナの感染拡大はどうなりそうですか。

世界では米州や南アジアで勢いを増し、収束の見通しがたちません。日本では緊急事態宣言の解除後、再び感染者が増えています。経済活動を再開させれば避けがたいことだとも言えますが、いわゆる「3密」を回避しマスクの着用、手洗い励行などを社会全体で続ければ爆発的な拡大は避けられるはずです。

厚生労働省が実施した抗体検査で、新型コロナに感染して抗体を持つ日本人は全体の1%に満たないとされます。爆発的な拡大を許せば、医療崩壊や死亡者の増加が起きないとも限りません。

――PCR検査や治療薬はどの程度有効ですか。

国内で不足していたPCR検査の体制は、拡充されてきたようです。唾液からウイルスの存在がわかるものなど、簡便で短時間でできる検査法が利用可能になっています。感染者のクラスター(感染者集団)を検査で早期にみつけ、ウイルスを持つ人が、自宅や病院で人と会わないようにしてもらうのが大事です。職場や渡航者の検査を徹底し、気づかないうちに感染が社会のなかで広がらないようにすることも求められます。

治療薬では、抗炎症薬の仲間の「デキサメタゾン」に死亡率を下げる効果が確認されました。日本企業が開発した「アビガン」をはじめ多くの治療薬候補があり、世界中の研究機関や病院で臨床試験などが進んでいます。まだ「これで安心」と言える状況ではないですが、重症者の命を救える薬の登場を期待します。

――ワクチンの開発・普及が期待されますが、現状は。

社会の構成員のある割合以上の人が免疫をもつと、感染症は次第に消えていくとされます。「集団免疫」と呼ばれ、割合は4割とも6割ともいわれます。安全に集団免疫を実現するにはワクチンが不可欠です。ワクチンは、健康を損ねないで私たちの体にウイルスに対抗できる免疫をつける薬だからです。

世界で100を超えるワクチン候補が現在研究されており、トップを走るのは米国や中国、欧州で開発中の8つのワクチン候補です。初期段階の試験で有効性が確認されているものもあり、早ければ今秋から来年にかけ実用化ができると期待されています。

ワクチンは安全性が重視されるので、副反応などが出て実用化を断念する候補もあるかもしれません。通常は安全性と有効性の確認に何年もかけ、大量生産に入るのですが、今回は臨床試験と量産体制の整備を並行的に進めています。実用化できないと後からわかり、設備投資が無駄になってもいいと覚悟のうえです。ワクチンの実用化は急務で、政府が製薬会社を資金面で支援しています。

はしかのように子どものころに接種すれば生涯、免疫を得られるワクチンもあれば、インフルエンザのように毎年接種する必要のあるものもあります。新型コロナに対して私たちの体がどれほど長く免疫を保ち続けるのか、まだわかっていません。

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