お酒は「店飲み」から「家飲み」へ 新常態の対応急ぐサントリーホールディングス 新浪剛史社長

――重要販路である日本国内の飲食店も休業や営業短縮が大きな打撃です。

「家賃や資金繰りの問題で、国の支援を充実させる必要があります。飲食店は日本のソフトパワーそのものです。世界で金メダルがとれるレベルです。そこが弱まるのは日本にとって良くない。政府の経済財政諮問会議の民間議員として支援策をしっかり入れてもらうのが私の役割です」

消費戻り遅く デフレ懸念も

――消費や景気の見通しはどうですか。

「消費がV字でどーんと戻るというのは考えづらい。リーマン・ショックのときと比べて、えたいが知れない恐ろしさがある。人手不足と言われて来ましたが、むしろ余るようになるでしょう。ただ一方で、フードデリバリーなど新しいビジネスが次々と出てくることに期待しています」

――いま業界では通常のビールより割安な第三のビールがよく売れる傾向があります。生活防衛から消費者は安価な商品を求めるのではないですか。

「デフレ傾向は強まるでしょう。いま消費者はなかなか心の余裕がないですが、デフレでない世界をつくるには早く消費者に安心感を持ってもらう必要がある。当社では、飲食店だけでなく家庭でも『ザ・プレミアム・モルツ』のなめらかな泡を楽しんでもらえるよう『神泡』のプロモーションに力を入れています」

――新浪さんはかつてローソン社長を長く務めました。そのためサントリーの社長になった当初は、セブン―イレブンとの関係が微妙になりましたね。

「今はそんなことないし、国内酒類事業を統括する鳥井信宏副社長がしっかりと、お得意先と関係をつくっています。私も(コロナの影響に対応しながら)これから小売りがどうやって変わっていくのか、非常に関心をもっています」

――10年ほど前にはキリンホールディングスとの統合交渉が破談になりました。コロナに伴う経済危機により、国内の食品や飲料業界の再編機運が再び高まる可能性はありますか。

「我々のような食品産業は生活に密着しており需要が大きく減ることはないでしょう。今回のことでサントリーが再編に動くことはないです。コロナあるいはコロナ後への対応に経営資源を割いていくべきです」

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