お酒は「店飲み」から「家飲み」へ 新常態の対応急ぐサントリーホールディングス 新浪剛史社長

サントリーホールディングスの新浪剛史社長(3月24日撮影)
サントリーホールディングスの新浪剛史社長(3月24日撮影)

サントリーホールディングスが世界規模で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている。6年前に買収した米蒸留酒大手ビームの売り上げを支える飲食店が軒並み休業となり「家のみ」需要の開拓が急務になっている。国内も景気悪化でデフレ懸念が強まる。鳥井・佐治ファミリー以外で初の社長である新浪剛史氏は「押し寄せる荒波を創業家とひとつになって乗り切る」と話した。

店の体験なしで 購入へ誘うには

――2014年に社長に就いてから大きな任務が米ビームに対する統治を強めることでした。それを実現したところにコロナ禍という試練が来ました。ビームにどう影響していますか。

「どこの国もレストランやバーなど外で集まって飲む場がすごく厳しいです。日本以上に厳格なロックダウン(都市封鎖)などがあって、飲食店が壊滅的な打撃を受けました。米国のほか新たに市場開拓に力を入れ始めたインドもロックダウンになりました」

「その代わり各国で家庭での需要がすごく伸びています。(14年にサントリーの蒸留酒部門と統合した)ビームサントリーになってから、こうしたお客さんの変化に対して速く動ける組織になっています。私はここ2~3年でデジタルマーケティングをすごく強化してきたので、それが功を奏しつつあります。各国の市場でeコマースが大きな影響力を持っており、今後も伸びていくでしょう」

――ジムビームやメーカーズマークなどのブランドをもっと家で飲んでもらわないと厳しいですね。

「本来はブランドビルディングはバーやレストランから始まるものです。ただこれからは『バーで飲んでおいしいから家庭で飲む』という、消費の構造をどのように変えていくかが課題です。バーが従来通りに集客するようになるまでには、時間がかかると思いますので。(店で試さなければ)飲まないで買うことになりますね。業務用で売っていた商品を、どうやって家庭の中で理解してもらえるかという挑戦です」

――ビーム買収で一気に1兆8000億円超に膨らんだ実質借入金は、返済により昨年末で1兆1600億円まで減りました。いま手持ち資金を増やそうとする企業が多いですが、財務戦略はどうしますか。

「先の世界が不確実なので手元流動性を高めておこうと思います。資金を使う対象を精査し急がなくてよいものは遅らせます。ジムビームの蒸留所の改造など本当に必要なところには投資しますが。一方で債務返済は予定通りやります」

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