普及進まないマイナンバーカード 壁は制度の信頼性
マイナンバーカードの手続きに訪れた人で混雑する窓口(5月13日、大阪市の中央区役所)
最近、マイナンバーに関するニュースをよく聞くわね。そもそもどういう制度なの。注目されているワケや、なかなか普及が進まない理由はどんなところにあるのかな。マイナンバー制度について高倉まなみさんと田嶋理香さんに、斉藤徹弥編集委員が解説した。
――そもそもマイナンバーとは何ですか。
国内に住む人に1つ強制的に付けられる12桁の個人番号のことです。個人を識別し、行政事務を効率的に処理するための番号で、今のところ税金、社会保障、災害対策の3分野だけに使っています。番号は引っ越したり結婚したりしても一生変わりません。
この番号を記載したカードがマイナンバーカードです。氏名、住所、生年月日、性別が記載され、顔写真も入ります。児童手当や年金、税などの手続きでカードを提示すれば、住民票や課税証明書などは不要になります。
カードにはICチップがついていて「電子証明書」が入っています。これはマイナンバーとは別に本人を確認するものです。この電子証明書を使って、コンビニで住民票をとったり、オンラインで年金や子育ての申請や確認をしたりすることも可能です。ただカードを紛失すると、表面に記載された氏名や住所などの情報や顔写真が他人に知られる恐れがあります。
――最近、注目されるのはなぜですか。
10万円の特別定額給付金を巡り、カードを使ってオンラインで申請すれば早くもらえるとされたためです。ところが受け付けが始まるとトラブルが相次ぎました。まずカードを発行してもらおうと役所の窓口に殺到しました。オンライン申請に必要な暗証番号を忘れる人や、電子証明書の有効期限が切れている人もいました。いずれも再登録は役所の窓口でしかできず、窓口はさらに混雑しました。
オンライン申請には「マイナポータル」という政府の専用サイトを使います。必要な事項を入力しスマホで書類の画像を送ればよいのですが、申請に不備が相次ぎました。
米国などは個人番号を金融機関の口座と結びつけ、政府が個人の口座を把握しているので素早く給付金を振り込めます。日本も今回の反省から1人1口座を政府に登録してマイナンバーとひも付けすることを検討しています。実現すれば給付は早くできます。