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スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、民間主導の宇宙ビジネスをけん引してきた。

スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、民間主導の宇宙ビジネスをけん引してきた。

米国で民間企業が有人宇宙船の打ち上げに成功したわ。宇宙開発は国がそれぞれの威信をかける世界だと思っていたけど、変化が起きているのかしら。日本の動きも気になるわ。宇宙開発の現状や日本を含めた各国の動き、民間ビジネスの動向について、丸山小百合さんと帯刀美晴さんに小玉祥司編集委員が解説した。

――米国の宇宙開発は民間中心になるのですか?

5月末に宇宙ベンチャーの米スペースXが開発した新型宇宙船「クルードラゴン」が、2人の米国人飛行士を乗せて打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。民間企業が開発を主導した有人宇宙船がISSに到着したのは初めてです。米国の宇宙開発は米航空宇宙局(NASA)が中心となっていましたが、新たな時代に入ったといえます。

民間主体のプロジェクトはNASA主導で2010年に始まりました。従来の宇宙開発は政府が中心で、コスト意識が甘くなりがちでした。民間企業の参入を促すことで費用を抑えようとしたのです。NASAはスペースXと米ボーイングの2社と契約しており、今後は2社が打ち上げる宇宙船の座席をNASAが購入する形になります。

ただ、米国の宇宙開発がすべて民間中心となるわけではありません。ISSに向かう宇宙船はスペースシャトルが11年に退役しました。2社はあくまでその後継の宇宙船を運用する計画です。NASAは月に行くための大型ロケットと宇宙船の開発を進めています。民間と役割を分担するというのが実情です。

――米国以外の国も宇宙開発を進めています。

有人宇宙船を打ち上げられるのは、米国とロシア、中国の3カ国です。ロシアは国営企業が打ち上げを担当していますが、お金を払えば民間でも利用できます。スペースシャトル退役後は米国も1人あたり約86億円を払ってISSに飛行士を送っていました。今回のスペースXは1人当たり費用が約58億円で、大幅な節約です。中国は国家主導で開発を進めています。

3カ国以外では、インドが数年内の有人宇宙船打ち上げを目指しています。日本や欧州の国家機関では今のところ独自の有人宇宙船開発計画はありませんが、民間企業の取り組みは始まっています。

――日本の宇宙技術も進んでいると聞きます。

小惑星探査機「はやぶさ」の帰還は大きな話題となりました。「はやぶさ2」も順調にミッションを進めています。また大型ロケットの「H2A」は改良型も含め、高い成功率を誇ります。

政府は17年に、宇宙の産業利用推進を加速するため「宇宙産業ビジョン」を策定しました。18年には宇宙活動法などが施行され、民間のロケット打ち上げが容易になりました。とはいえ日本で打ち上げる衛星は官需主体で、民間需要の開拓が課題です。関連ビジネスの市場規模は16年で1兆円余り。50年には4兆4000億円程度に拡大することを目指しています。

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