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子どもの学び

豊島岡女子、LED問題で試す生徒の「気付く力」 入試問題でわかる 名門中学が求める子ども(2)

2013/10/24

入試問題は、いわば「わかる子にだけわかる暗号」。正解に至るための暗号を一つひとつ解いていけば、そこに込められた学校からのメッセージが見えてくる。そして、受験生たちはその暗号を解くために、勉強をしているといえる。本企画では、毎回1校に、実際の入試問題に込めた狙いを聞く。そこから、各校の学力観・教育観を明らかにしていく。

今回紹介するのは、この10年で大学進学実績を急伸させ、最難関の人気進学校として知られるようになった豊島岡女子学園中学校(以下、豊島岡)。

豊島岡は1892年、女子裁縫専門学校として開校した。建学の精神は、今でも、毎朝5分間の「運針」の時間に象徴されている。「運針」とは、長さ約1mの白い布を、赤い糸で縫うという単純な作業。作業自体は単純であるが、そこに込められた意味は深い。雑念を捨てて無心になる鍛錬でもあり、基礎の大切さや努力の積み重ねを知る機会でもある。大学入試の会場で、試験直前に、運針をして心を落ち着かせる豊島岡生もいるという。毎朝、運針の5分間は学校中が静寂に包まれる。豊島岡の名物だ。

豊島岡の入試は2月2、3、4日の計3回ある。

■読書の好きな子ほど危ない!? 国語の読解問題

まず2013年度第3回入試の国語の問題を見てみよう。熊谷達也の小説『オヨネン婆の島』からの出題だ。

大人が五人がかりでも、いや七、八人でも腕が回せないくらい幹周りの太いスダジイが、懐中電灯の光芒(こうぼう)の先にぼうっと浮かびあがった。その根元にこんもりと山になってカツオドリが群れていて、さかんにぎゃあぎゃあ喚(わめ)いている。
「これ、何するだっ」
いきなりカツオドリが喋(しゃべ)った。仰天して懐中電灯を取り落とす。
「こげな婆(うんば)を食っても美味(うま)くねえだぞっ」
「オヨネン婆(ばあ)!」叫びながら飛び起きた。落とした懐中電灯を拾いあげ、カツオドリの群れに駆けつける、
「こりゃあっ」
太一郎(たいちろう)が叱りつけるようにして声を荒げると、群れていたカツオドリたちは、蜘蛛(くも)の子を散らすように、B〔 I 〕方〔 II 〕方へと逃げ出した。そのあとから、頭を抱えてうずくまっているオヨネン婆が姿を現した。
「オヨネン婆、大丈夫だか」
もう一度呼びかけながら肩(かた)を揺(ゆ)すると、
「はれ、その声は太一郎でねえか」
(2)鳥の糞(ふん)まみれになったオヨネン婆が、惚けたような顔つきで、太一郎を見上げた。
これだけ喋ることができるのなら大丈夫なのだろうと安堵する。それでも、頭や顔に怪我(けが)はないかと懐中電灯で照らしていると、
「眩(まぶ)しいだぞ。人の顔にまともに明かりを向けるでねえぞ。失礼というものだんきゃ。」オヨネン婆が抗議した。
生きた心地がしない目に遭(あ)っただろうに、(3)相変わらずの口調(くちょう)である。

問三   線(2)「鳥の糞まみれになったオヨネン婆が惚けたような顔つきで太一郎を見上げた」とありますが、このときのオヨネン婆の様子の説明として最も適当なものを次のア~オの中から一つ選び、記号で答えなさい。

 カツオドリに大変な目にあわせられながら気丈に振舞おうとするが、少し緊張がとけて泣きそうになっている様子。
 カツオドリの糞をかぶりながらもいさましく戦っている様子を太一郎に見られて、少し恥ずかしく思っている様子。
 カツオドリとの激しい争いにもうだめなのかもしれないと思っていたところ、太一郎に気付き心からほっとした様子。
 カツオドリに散々にやりこめられて困りきっていたところを太一郎に助けられたが、まだ状況がわからず呆然としている様子。
 カツオドリに食べられそうになって恐怖で身動きがとれなくなっていたが、いつの間にか助かり安心した様子。

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