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百貨店に設けられた人生100年関連商品の特設売り場

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「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになったけど、何歳まで働こうっていうことなのかしら。健康ならできるだけ現役でいたいと思うけど、働き方や年金のことも気になるわね。人生100年時代の働き方について、小澤ゆうさんと小川美紀さんに石塚由紀夫編集委員が解説した。

――人生100年時代とはどういうことなのでしょうか。

21世紀に生まれた子どもの2人に1人は100歳まで生きるとする推計があります。そういった長寿化に伴い、従来の人生設計を見直すべきだと英国の学者リンダ・グラットン氏らが著書「ライフ・シフト」で提唱し、広く知られるようになりました。

特に問題になるのは働き方です。引退後の生活が長くなると、現役時代の蓄えと年金をやりくりして暮らしていくのも至難の業です。日本では60歳定年が主流です。20歳前後で社会に出て、約40年働き、勤務先を定年退職しても人生はまだ40年続きます。

そもそも60歳定年が定着したのは1980年代以降。80年の日本人の平均寿命は男性73.4歳、女性78.8歳でした。でも寿命は伸び、老後の概念が変わっています。2060年には男性84.2歳、女性90.9歳になるといいます。全員が100歳まで長生きするわけではありませんが、元気なうちはできるだけ長く働く方が家計は安心です。

――仕組みづくりは進んでいるのでしょうか。

60歳以上の就業者は増え続けています。さらに国は「70歳現役社会」の実現に向けて動き出しました。6月国会で高年齢者雇用安定法などが改正されました。70歳まで就業機会を確保することが企業の努力義務になります。施行は21年4月からです。

現状、65歳まで社員を雇い続ける義務が企業に課せられています。そこにプラス5歳、定年を延長したり、再就職先を紹介したり、独立起業を応援したりするなどの取り組みを求めます。罰則のない努力義務とはいえ、国は企業に強く促していくとみられています。

日本は世界トップの高齢社会です。医療費や年金など高齢者向けの社会保障給付額が年々増加し、社会保障財政が厳しくなっています。働けるのであればしっかり稼いで社会保障費を支払う側になってほしい――そんな思惑も、今回の法制度改定には込められています。

――企業などの取り組みは進んでいるのでしょうか。

経験と能力に富むシニアは貴重な戦力です。法制度改定を待たずに先手を打つ企業も出てきています。サントリーホールディングスは4月に65歳以降の再雇用制度を導入しました。今後は定年を迎えた後も、最長70歳まで非常勤社員として働く道が開けます。

パソナグループは他社の定年退職者をターゲットに、19年度から採用活動を始めました。新たな環境でゼロから再チャレンジしたいシニアを雇います。昨年は約80人を採用。中小・零細企業の経営者をサポートしたり、営業担当として駆け回ったりして、いきいき働いているそうです。

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