「頑張れ」と言わない 校長が説く自己肯定感の高め方「これからの学びのカタチ」 後編

子供の自己決定を促す3つのセリフ

麹町だったら3つのセリフですね。最初に子供が自分で現状把握するような問いかけ方をするのが大事です。「何に困ってる?」「どんな感じ?」と聞きます。2つ目に「君はどうしたいの」と。悪さをしたり、友だちとけんかしたり、問題行動を起こした子供に対しても、必ずこの2つのセリフを最初に使うんです。今までは親とか先生が結論を出してくれる。「謝れ」とか、「悪いことしたんだからこうしろよ」と。そうではなくて、「君はどうしたいの」と聞くわけです。最初のうちは、どうしたいと聞かれても子供自身は戸惑うわけです。最後に僕ら教員が「何を手伝ったらいい?」と聞くと、子どもは驚きですよね。叱られると思ったら、何を手伝ったらいいかと聞かれるわけです。

YouTube用の動画撮影をする工藤勇一校長

「こんな支援だったらできるけどどうする」と聞くと、子供も「じゃあこうしたい」と自分で自己決定する。それを支援していく。こういう小さな自己決定を繰り返していくと、自分で物事を決定するということで自己受容が始まってきます。自分の決定を自分で許していくと、人の自己決定も許せるようになってきます。他との関係もだんだん良好になってくる。自分を嫌いな子どもは人も嫌いですから。人もだんだん許せて嫌いにならなくなってくる。そうすると主体性のある子供に変わってきます。小さな自己決定を繰り返すことですね。

日野田 例えばですけど、レストランで「好きなものをお食べ」としつつも「でもやっぱりラーメンを食べろ」と言ってしまったら、自分で意思決定できなくなってしまいますよね。よくない選択肢だと親が思っても、相当危険なものでない限りは本人にやらせてみる。それで一回痛い目をみたりしないと、わからないことのほうが多いですよ。僕ら大人だってそうですよね。親が選択肢を奪っていくと、我々の経験上、ろくなことになりません。なので、どんなに失敗したとしても、成績が下がったとしても、自らの選択肢は自分で選択させるというか、選択していくように待つことが大事です。まあ、僕も待てないことがあるんですけれどね(笑)。

工藤 勝手に子供たちに理想を植え付けて、その理想に届いていないことに対して劣等感を持てという指導をしていると思うんです、我々教育に携わる者や多くの大人たちは。「何でお前できないんだ、もっと頑張れよ」みたいな感じですね。今のままじゃダメだということを言っているわけです。自己肯定感にはつながらないわけです。勝手に理想を掲げて勝手に不幸になる教育はもうやめないといけないです。

桜井 3つ目の質問です。これもまた切実な質問ですね。コロナ禍の中で教員を志望する学生さんからです。「来年度採用に向けて教員採用試験活動中の学生です。『これからの学びのカタチ』を実践するためにこれからの教員に求められる資質は何ですか?」。いかがでしょう。

工藤 教育って何なんだろうって、何のために学校はあるんだろうっていう、本質的な問いかけをしてほしいと思います。実際に現場に立つと理想通りにはいかず、目の前の課題を解決していかなければならなくなるんですけど、一方で常にそれに疑問を持ちながらやるということが大切です。

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