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花王の沢田道隆社長

花王の沢田道隆社長

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、花王の沢田道隆社長が経営モデルの変革を急ぐ。世界中で衛生意識が高まる中、手薄だった欧米を含めて関連製品の生産・販売を強化する。化粧品ではダイレクト・ツー・コンシューマー(D2C)と呼ばれるネット直販を広げる。社長就任9年目で訪れた最大の危機に対して「自分の力が本当に試される時だ」と覚悟する。

消毒液の増産 100倍を目標に

――品薄状態が続く消毒液を20倍以上に増産することを決め、4月下旬から実行しています。

「ハンドソープなどの衛生関連製品はいち早く増産に入りました。もともと大きなビジネスをやっていなかった消毒液は、どう増産するのかが難しかったのですが、消費者や小売店からの要望は大きく、100倍の増産を目標にするよう社内で指示しました。それくらいを目指すことで、20倍は実現できるのです」

「消毒液のために4工場をフル活用し、委託先企業との連携も強化しました。容器不足だったので食器用洗剤の詰め替え容器も緊急で使います。容器や生産に関する行政の規制や手続きが課題だったのですが、私たちからかけあって緩和していただけました」

――消費者の行動は変わっていますか。

品薄が続く消毒液は20倍以上の増産を決めた

品薄が続く消毒液は20倍以上の増産を決めた

「まず衛生意識が向上しています。万が一を考えて商品を家庭にストックしようとの動きも感じます。収入が大きく減少している家庭もあり、不要不急のものは購入しない傾向が鮮明です」

「この先を考えたとき、おそらく昔と同じようには戻らないでしょう。感染症は終息後に再度拡大する可能性があり、別の感染症の恐れもあります。ある意味で、これまでとは異質の『新常態』に入るとの認識を持つ必要があるでしょう」

――そんな全く新しい世界と消費者に対してどのように経営を適合させて生き残りますか。

「変えないことと変えることを考えることが大切です。変えてはいけないのは企業理念『花王ウェイ』です。こういうときはESGをわきに置きがちですが、それは絶対にやってはいけない。新型コロナが広がる前から感染症予防について提唱してきました。その流れの中で、衛生関連商品の販売を通じた『プロテクトJAPAN』という活動に力を入れています」

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