コロナ禍で異例の決断を行った企業に密着し、その決断を下した裏側をひもとく本特集。創業90周年を迎える老舗商業施設・丸井は、政府の緊急事態宣言を受け休業期間中のテナントの家賃および共益費を全額免除することを発表した。“太っ腹”な決断の裏側には、受け継がれるDNAと独自のビジネスモデルがあった。

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丸井の青木正久社長
丸井の青木正久社長

 新型コロナウイルス感染拡大という世界的危機の渦中で、難しい決断を迫られている企業は多いだろう。どのような情報を集め、どのようなロジックで優先順位を付けていくべきか。そのヒントを得るべく、本特集ではコロナ禍で異例の決断を行った企業に密着し、その決断を下した裏側をひもとく。

 第3回は丸井にスポットを当てる。同社は新型コロナウイルス感染拡大を受け休業を迫られる中、大きな決断を下した。休業期間中、テナントの家賃および共益費の全額免除だ。

 2020年4月24日、丸井は「新型コロナウイルスを乗り越えるためのパートナーシップ強化について」というリリースを発表。新型コロナによる未曽有の危機に対して、4つの取り組みが示された。

  • 取引先の休業期間中の家賃および共益費を全額免除
  • 消化仕入れの取引先の最低保障売り上げを6カ月間撤廃(3~8月期)
  • 希望に応じて敷金1~2カ月分を返却 ※6カ月以上預託する取引先が対象
  • 希望に応じて5~7月期の家賃や共益費などの支払いを6カ月間猶予

 なぜここまで“太っ腹”な決断ができたのだろうか――。丸井の青木正久社長は「経営理念でもある『共創』という価値観を判断基準の1つとして、中長期的に見ればテナントにも丸井自身にもメリットがあると判断したため」と言う。この決断も「共創」によって生まれたものだった。

約2100テナントにアンケートを実施

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