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地震後、営業再開前に訓示。社員の結束が強くなった

地震後、営業再開前に訓示。社員の結束が強くなった

石川県内にとどまらず、日本の旅館の代表格である加賀屋(同県七尾市)。3代目の社長で現取締役相談役の小田禎彦氏は、旅行業界紙の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で長く連続日本一に選出されたサービスの礎を築いてきた。小田氏の「仕事人秘録」第9回では、能登半島地震からの立ち直りを語ります。

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ゴールデンウイーク前の開業目指す

1990年代に入ると景気は低迷するが、加賀屋は80年代の大型投資の効果で乗り切る。経営に大きな影響を与えたのは、2007年3月25日に発生した能登半島地震だった。

当日は東京で知人の結婚式があり、午前9時半頃に羽田空港に着いた。女性秘書に業務の指示を出そうと携帯電話で話していると、秘書が「すごい地震や」。ただならぬ声に深刻な事態だと直感した。

同行していた娘に結婚式の挨拶を任せ、戻ることにした。小松空港から能登半島に入ったが、あちこちで道路が壊れ、震度6強の揺れの激しさを物語る。夕方到着すると、4棟ある建物は無事に残っていた。ただ、各棟をつなぐ水道管はぼろぼろ。畳やじゅうたんはすべてだめになった。

吹き出した湯でやけどをした社員が1人いたが、あとは無事でひとまず安堵した。だが施設は傷みがひどく、営業は当面無理だ。大林組に「4月末からの大型連休に再開したい。なんとか間に合わせてほしい」と頼み込んだ。

再開がずれ込めば倒産するかもしれない。営業中止による売上高への影響は1カ月間で約10億円。これも大きいが「大型連休に開業できないほど被害が深刻だ」と思われると、イメージが悪くなる。客商売はパンチを食らってもすぐ立ち上がることが大事だ。

大林組は700人もの工事担当者を動員してくれた。大工さんの中には、自分の家も復旧していないのに、工事にあたってくれた人もいた。いわく「加賀屋が復興しないと、能登の復興もないんだから」。力が湧く言葉をもらい、1カ月後に向けて万全の準備をしようと誓った。加賀屋も能登のお客に見舞いにうかがい、互いに力づけ合った。

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