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「特定技能」の対象は製造業や外食、介護、農業など14業種だ

「特定技能」の対象は製造業や外食、介護、農業など14業種だ

日本で働きたい外国人向けに新しい「在留資格」ができてちょうど1年だそうよ。従来よりもっと一般的な仕事ができるようになったらしいわ。外国人労働者は増えたのかな。

新たな在留資格や外国人の就労状況について、坂東橋なおさんと浜田康子さんに山口聡編集委員が解説した。

――そもそもどんな制度ができたのですか。

外国人が日本で暮らすには「在留資格」が必要になります。外国政府の大使なら「外交」、大学教授なら「教授」といった在留資格です。その資格の一つとして新たに2019年4月に「特定技能」が設けられました。

これは外国人が日本で働くための資格です。これまでも外国人は日本で働くことができましたが、基本的に専門職に限られていました。これに対し、特定技能はもっと一般的な仕事ができる資格です。

――どんな業種でどんなふうに働けるのですか。

対象は製造業や外食、介護、農業など14業種です。最長5年、日本で働くことができ、その後も試験に合格すれば永住の道が開けます。人手不足の日本で大きな期待が寄せられました。

ただ、期待通りには利用者が集まりませんでした。最初の1年で最大5万人弱を見込んでいましたが、この資格で日本にいる外国人は約3千人(2月末の速報値)です。

一番多い業種は食品の工場で約1千人、次いで農業の500人などとなっています。高齢者の介護は約30人に過ぎません。国別ではベトナムが多く、インドネシアやフィリピンが続きます。

予想ほど集まらなかった原因としては準備不足が挙げられます。特定技能の資格を取るには基礎的な日本語試験と就職希望の業種についての技能試験に合格する必要があります。日本に労働者を送り出す国でそれらの試験を実施する準備や、関係者の調整が十分に進みませんでした。

日本企業など受け入れ側にも「制度がよくわからない」「コストがかかりそう」といった不安もあるようです。それならば今すでにある「技能実習」の仕組みで外国人に働いてもらったほうがよいという声もあります。

――技能実習も在留資格なのですか。

在留資格の一つです。日本に来て産業技術を学んでもらい、母国に帰って役立ててもらおうというもので、目的は国際協力です。ところがこの制度が実際には日本の人手不足を補うための労働力の確保のために使われているのです。19年10月末時点で技能実習生は約38万人もおり、増え続けています。

労働者として雇う制度ではないため、待遇面などに問題があり、失踪してしまう技能実習生もいて問題になっていました。特定技能はこのような問題をなくすため、きちんと労働者として来日してもらおうという意味もあったのです。技能実習生として約3年日本にいた人は無試験で特定技能の資格に移行できる仕組みも設けられました。日本で今、特定技能資格を持つ外国人の多くはこの移行組です。

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