帰省中は何かと気遣い 角が立たぬ言い回しはこれだ
いよいよお盆休み。夫婦で帰省したり、親戚が集まったりする家庭は多い。少しばかりの遠慮もある間柄だからこそ、気持ちよく過ごすには角の立たない話し方を心掛けたい。知っておくと心強い言い回しを、インターネット調査で聞き、ランキングにまとめた。
<上手にお願い 義父母編>
ホンネ 大人数の食事の用意は大変…
・子ども夫婦が連泊するときなど、毎日の食事の準備に疲れてしまうこともある。「上手に外食に誘えるようになって、会っている時はおしゃべりだけで楽しくなった」(60代女性)という声もあり、時には外食を取り入れると、料理の負担感を減らせる。
ホンネ 力仕事を頼みたい
・婿に頼み事があるときは、娘を通して伝えるとスムーズにいく(60代女性)
ホンネ 料理、手伝って
・「野菜を切るのが上手だから」など褒めつつお願いしている(60代女性)
<上手にお願い 嫁婿編>
ホンネ 客扱いしないで
・夕食作りを手伝おうと義母に「何かしましょうか」といった40代女性は「『大丈夫』と言われ、そのまま手伝わずじまいになってしまった」という。具体的に「何をやる」といって動くと任せてもらいやすい。
ホンネ 子育てのこと教えて
・子どもに菓子を与えすぎる義母に「しつけに協力して」といったら険悪に(20代女性)
ホンネ 手伝わせてほしい
・「私にやらせていただけますか」と控えめに申し出たらうまくいった(40代女性)
<好感度アップ 義父母編>
ホンネ 好きなもの、ハッキリ言って
・具体的なメニューや食材を挙げてほしいが、「何が食べたい?」と聞くと「何でも良い」と答える人が多く、「言い回しで工夫が必要」(50代女性)だ。「普段の会話でそれとなく好きなものを聞き出す」(50代女性)ように気をつけている人もいる。
ホンネ もっと来てよ
・「孫の顔を見るだけで元気がでる」と伝えると相手もこちらの気持ちを察してくれる(60代男性)
ホンネ 心配事、相談して
・「貯金はちゃんとするように」といったら気まずい雰囲気に。上から目線だったかも(50代女性)
<好感度アップ 嫁婿編>
ホンネ お礼、忘れていた
・贈り物をもらったお礼などを忘れていたことに気付いたら、すぐに感謝の気持ちを伝える。「『子どもたちも、おいしいと喜んでいました』と自分以外の感想を伝えたらうれしそうな顔をしてくれた」(40代男性)という声も。
ホンネ 土産、受け取って
・「一緒に食べたくて」と手土産を持って行くと喜んでくれた(30代女性)
ホンネ もっと話したい
・愚痴の話には参加しない。「そうですね」と曖昧な言葉でごまかす(30代女性)
<断り方のコツ 義父母編>
ホンネ 台所に入られるのはイヤなの
・他人行儀でよそよそしいと思われないようにしたい。「後片付けばかりお願いしていたら、疲れた顔をされた。買い物などを頼めば納得してもらえたかもしれない」(70代女性)と頼み事にも工夫が必要なようだ。
ホンネ 土産いらない
・「お菓子はいらないから」など具体例を出して事前に断っている(40代女性)
ホンネ 滞在費なんて水くさい
・直接言いにくい内容を手紙に書き添えると、次は理解してもらえる(60代男性)
<断り方のコツ 嫁婿編>
ホンネ 嫌いで食べられない
・箸をつけずにいたら「『嫌いなの?』と義母に聞かれて気まずい思いをした」(60代男性)という人も。「嫌い」など否定的な言葉を使わないようにしつつ、苦手な食材は普段の会話であらかじめ伝えておこう。
ホンネ そろそろ帰りたい
・事前に当日の予定を伝えて、ある程度時間を意識してもらう(30代男性)
ホンネ 食べ物はいらない
・善意を断るのは難しい。「もう結構です」といって気の強い嫁と思われてしまった(30代女性)
表の見方 順位の右にある数字は、複数回答で質問した際の回答者数
「クッション言葉+疑問形」がカギ
言葉の伝え方に関する著書がある杉山美奈子さんは、「柔らかく丁寧な印象を与えるクッション言葉と疑問形を組み合わせること」が印象のよい話し方のコツだという。例えば頼み事をするとき、いきなり要件をいわず「ちょっと悪いのだけれど」と前置きし、「お願いして大丈夫ですか?」と相手の都合を尋ねる。すると相手を思いやる気持ちが伝わりやすい。
これはビジネスにも応用できる。休みをとるときなど、先ほどの聞き方に加え、「仕事の進捗状況を丁寧に説明すると、納得してもらいやすい」(手紙文化愛好家・むらかみかずこさん)。円滑な人間関係の基本は思いやり。相手を思う気持ちが、ひいては自分や周囲の人との関係をよりよいものにしてくれそうだ。
◇ ◇ ◇
調査の方法 日経生活モニターへの調査や専門家の意見をもとに、帰省時などに角の立たない言い方の選択肢を作成。7月下旬にインターネット調査会社マクロミルを通じて「上手にお願いする」「好感度をアップさせる」「断り方のコツ」の3場面に分けて選択肢を選んでもらった。回答者は全国の20~80代の既婚男女、有効回答数は1032。同時に有職者(パート・アルバイト含む)を対象に、仕事上での言葉遣いなどについても聞いた。有効回答数は586。(専門家は以下の通り、敬称略、五十音順)
杉山美奈子(コミュニケーション・インストラクター)▽むらかみかずこ(手紙文化愛好家)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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