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カンガルーハウスの落成時は高円宮殿下・同妃殿下(左から2人目、3人目)も来訪された。左端が本人

カンガルーハウスの落成時は高円宮殿下・同妃殿下(左から2人目、3人目)も来訪された。左端が本人

石川県内にとどまらず、日本の旅館の代表格である加賀屋(同県七尾市)。3代目の社長で現取締役相談役の小田禎彦氏は、旅行業界紙の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で長く連続日本一に選出されたサービスの礎を築いてきた。小田氏の「仕事人秘録」第7回では、自前の保育園付き母子寮を設けた経緯を語ります。

◇  ◇  ◇

子育てと仕事の両立を応援

1986年、保育園付きの母子寮「カンガルーハウス」を加賀屋の近くに設けた。客室係の定着率を高める目的だ。求人のために足を運んでいた北東北の公共職業安定所で受けたアドバイスが、ヒントになった。

81年に完成した「能登渚亭」は連日満員で、一気に忙しくなった。頭が痛かったのは客室係の女性がよく辞めたことだ。シングルマザーも多く、子育てと仕事を両立するとなると、並大抵ではできない。接客や宴会の仕事は夜がほとんどで、子供が食事をしたか、寝たか、と気になる。

それまでも採用は最も重要な仕事の一つだった。62年に加賀屋に入ってから、定期的に足を運んでいたのが青森、秋田、岩手の北東北3県各地にある職安だ。繊維産地である石川県は、もともと労働力を北東北に求めており、就職難のときも働く場を提供してきた。職安の担当者も「石川県の会社であれば信用できる」と力になってくれた。

ずっと通い続けていると、若手時代から親しくしていた職員が昇格して所長になる例もある。その中の1人が「家庭の事情で離婚し、新天地で働きたいという人は多いですよ。もし子供さんの面倒を見る施設があれば、人はもっと来ますよ」と言ってくれた。よし、これだ、と思った。

加賀屋の創業80周年事業として、母子寮を建てることを決めた。8階建てで53室あり、1階には保育園を設けた。場所は旅館から歩いて3分。客室係は何かあれば、すぐに子供の顔を見に帰れる。

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