男性育休、日本で根付くか 制度は一流も実態は二流

男性の育休取得率(2018年度)は6%強にとどまる 写真はイメージ =PIXTA
男性の育休取得率(2018年度)は6%強にとどまる 写真はイメージ =PIXTA

小泉進次郎環境相が事実上の育児休業を取ったわね。政府も男性の取得を促そうとしているみたい。「イクメン」が話題になっているけど、実態はどうなの? 日本で根付くのかしら。

男性の育児休業の実態や取得促進に向けた課題などについて、岩下智子さんと金子美紀さんに石塚由紀夫編集委員が解説した。

――日本で男性の育休取得は進んでいますか?

育児休業制度が法制化されたのは1992年です。働く女性が増え、仕事と育児の両立への配慮が必要になったことが背景です。1歳に達するまでの子どもを養育する雇用者が対象で、スタート時から男性も取得できたのですが、当初は妻が専業主婦だと夫は取得できませんでした。「子育ては女性の役割」という考えがあったためです。今は配偶者の就労形態に関係なく、男女ともに取得できます。

ただ取得者は今も圧倒的に女性です。育休取得率(2018年度)は、女性が82%を超えているのに対し、男性はわずか6%強です。男女差は極めて大きくなっています。取得した男性も、その期間は7割以上が2週間未満。形ばかりというのが実態です。

国連児童基金(ユニセフ)は昨年、世界各国の育休制度を比較しました。日本は収入の補償付きで休める期間は世界最長です。その一方で男性の取得率は極めて低く、「制度は一流、実態は二流」と批判されました。北欧では男性の取得率が約8割、かつて日本並みに低かったドイツも3割を超えています。

――「イクメン」はまだ少ないということですね。

育休を取るつもりがない男性が今も多数います。取得希望を持つ男性も「職場に迷惑がかかる」「収入の減少や取得後の出世に響く」といった理由で二の足を踏んでいます。日本の職場風土に「男は仕事、家庭のことは女性」という性別役割分担意識が根強く残っている影響でしょう。

イクメンが注目されるのは、それだけ家事・育児にかかわる男性が少ないからです。ある調査で育休を取った男性の家事・育児時間を調べたところ、3人に1人は2時間未満でした。妻の側からは「世話する子どもが1人増えたようなもの」との嘆きも聞こえてきます。

――政府は男性の育休取得を促進しようとしています。

政府は男性の国家公務員について、4月から1カ月以上の取得を原則にすると表明しました。環境整備に向けて管理職向けのガイドブックや仕事引き継ぎの手引なども作成・公開しており、民間企業への波及を期待しているようです。また自民党には、民間での取得促進のため、企業が男性社員に取得を促すことを法的に義務付けようという動きもあります。

政府・与党が対策を急ぐのは、少子化が依然として深刻なためです。19年の出生数は86万人余りと、戦後初めて90万人を割りました。少子化のスピードは政府の予測を上回っています。子どもを産み育てやすい環境を整えることが急務となっています。

企業にも動きが出ています。積水ハウスや三菱UFJ銀行などは男性社員の育休取得を義務化しました。日本生命などの調査によると、育休を取得した男性社員は働き方を見直し、生産性が向上したという成果も報告されています。企業にとっては経営上のメリットもあるようです。

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