並んでも食べたい かき氷の名店ランキング
いよいよ夏休み。今年は猛暑で冷たいかき氷を食べたくなる日が多くなりそうだ。氷の削り方やシロップで味わいは異なり、全国には並んででも食べたいかき氷を出す店が数多くある。多くの店に訪問したことのある専門家にお薦めの店を評価してもらい、東日本と西日本に分けてランキングした。
<東日本>
食感はまるで綿あめ 鵠沼(くげぬま)海岸にあるかき氷専門の人気店。栃木県日光市の三ッ星氷室がつくる天然氷を熟練の技で削る。旬の果物を使ったシロップも絶品で「それまで無かった衝撃のおいしさ」(chicoさん)との声もある。「綿あめを思わせるふわふわの食感」(山本諭さん)だ。
夏は開店と同時に配布する整理券が要る。7~9月中旬は大変混むので9月下旬以降の来店がおすすめ。(1)夏のイチゴ900円(2)通年(3)0466・33・2500
野菜シロップも かんきつ類のほか、注文の後にコーヒー豆をひいて作る「エスプレッソ」のシロップが人気。
カボチャやアボカドなど野菜を使ったものもある。「氷の温度や削り方が完璧で、シロップの組み合わせにもセンスが光る」(小池隆介さん)(1)かんきつミックスオレンジ系700円(2)通年(3)048・526・1719
天然氷の蔵元 天然氷の蔵元のかき氷を求め、夏は長蛇の列ができる。シロップは果物を中心に8~10種類ほど用意する。「太陽の下でかき氷を食べるのは格別」(あやのさん)(1)みかん600円(2)通年(3)0494・62・1119(繁忙期は電話に出られない)
生メロン人気 旬の果物を使ったシロップが人気。生メロンは売れ行きをみて随時作る。混雑状況に応じて整理券の配布も。
「突き詰めたおいしさに仕上がっている」(山本さん)(1)生メロン800円(2)通年(3)03・3824・4132(繁忙期は電話に出られない)
珍しいアンズ 老舗和菓子店が赤坂本店だけで提供する「氷あんず」は甘酸っぱい味わい。「アンズを生かす熱意に拍手を送りたい」(門上武司さん)宇治金時は全店で食べられる。(1)氷あんず1155円(2)5~9月中旬(3)03・3408・4121
全国で5軒という天然氷の蔵元の一つが提供する。手ごろな価格で、長い列ができる。(1)レインボー350円(2)通年(3)0288・21・0162(繁忙期は電話に出られないこともある)
夏季のみ開店するかき氷専門店。氷の大きさに圧倒されるが、ふわふわでスプーンが進む。(1)小田原みかん800円(2)5月大型連休~9月末(3)090・6305・8980
たい焼きで有名な東京・麻布十番の「浪花家総本店」からのれん分けした甘味店。小豆のおいしさに定評がある。(1)氷きなこ600円(2)2月中旬~11月(3)03・3842・0988
東京・荻窪のラーメン店で味わうかき氷。平日は午後2時から、週末は午前11時半から売り切れまで食べられる。(1)キウイ750円(2)通年(3)03・3392・2878(繁忙期は電話に出られない)
JR秋田駅近くの甘味店。かき氷の上にソフトクリームをのせた商品が人気。(1)生グレープフルーツソフト480円(2)6月中旬~9月(3)018・832・5736
<西日本>
濃厚なシロップ 創業120年の地元の有名和菓子店のかき氷。夏季限定で夏休みの時期は混み合う。地元で採れたイチゴやイヨカンなどの果物をふんだんに使い、果肉そのものを感じさせる濃いシロップの存在感が光る。削った氷で器がいっぱいになった時と、さらに氷を山型に盛って整えた後と2度シロップをかけるので、最後まで味が薄まらない。
「自家製シロップはイチゴそのものを食べているよう」(青柳喬さん)、「氷は名人が作ったおにぎりのように中はふんわりして感激する」(斎藤愛さん)(1)イチゴミルク640円(2)5月大型連休~10月初め(3)0898・22・5735
ボリュームある「白熊」 鹿児島のかき氷「白熊」を味わえる人気店。削り立てのきめ細かい氷にさっぱりした味の自家製ミルクとみつをかけ、ミカンや桃、サクランボといった果物やレーズン、寒天などを色彩豊かに盛る。カップで取り寄せもできる。
「ミルクの甘さと果物の酸味のバランスがよい」(平岩理緒さん)(1)白熊683円(2)通年(3)099・222・6904
抹茶みつにあんと餅 「赤福餅」で有名な老舗和菓子店が1960年代に海水浴客向けに考えたかき氷が始まり。抹茶みつのかかった氷の中に、特製のあんとモチを入れた。
名古屋や大阪の百貨店内の直営店でも食べられる。「伊勢神宮で式年遷宮があるので、出かけた帰りにぜひ食べたい」(神谷千佳代さん)(1)赤福氷500円(2)4月下旬~9月下旬(2)0596・22・7000
果物も練乳もたっぷり JR岐阜駅近くの甘味茶店。気温や湿度に応じて氷の削り方を変える。桃の果肉を載せた「生桃DX」やメロン、マンゴーを使ったシロップが人気。
「果物も練乳もたっぷりで女性に好まれそう」(あやめさん)(1)生桃DX900円(2)通年(3)058・264・9552(繁忙期は電話に出られないこともある)
老舗茶店の抹茶香り高く 町家を改装したモダンなカフェで、栃木・日光の天然氷を使ったかき氷が食べられる。
定番の抹茶宇治金時は老舗の永谷宗園茶店の抹茶を使った蜜が香り高く、氷の中には練乳のババロアなどが隠れている。(1)抹茶宇治金時1200円(2)通年(3)075・525・7128
抹茶宇治金時、番茶味のかき氷が人気の祇園にある甘味店。東京・原宿にも店がある。(1)特上抹茶宇治金時1300円(2)通年(3)075・561・5554
白玉に緑色のあんをかけた「くるみ餅」の上に氷を載せて食べる。鎌倉時代に創業した和菓子店。(1)氷くるみ餅350円(2)通年(3)072・233・1218
シャーベットのような食感のかき氷は通年で食べられる。商品によっては取り寄せができる。(1)ミルクセーキ500円(2)通年(3)0898・22・2076
古座川の名水を72時間かけてじっくり凍らせた純氷を取り寄せている。削った氷は口溶けがよい。(1)抹茶ミルク金時500円(2)通年(3)0735・21・5300
現状でもとても混雑しており、今回は掲載を見送らせてほしいという店があったため、西日本は9位までとした。
表の見方 店名、所在地(1)店の人気商品と税込み価格(2)かき氷を提供する時期(3)電話番号(夏の繁忙期は電話はつながりにくい)写真は東の1、2、3、4位、西の1位以外は店舗提供。
削り方・シロップにこだわり
一部の店は氷にもこだわり、天然氷を使う。氷池に石清水を引き込み、約2週間かけて15センチメートルほどの厚みになるまで凍らせたもので、切り出しておがくずに包み、氷室などで夏まで保存する。天然氷の蔵元はランキングに入った阿左美冷蔵(埼玉県皆野町)や松月氷室(栃木県日光市)など5軒のみという。
氷の削り方次第で、口当たりや食感が変わるため、各店が削り器の刃の角度を変えるなど工夫を凝らす。シロップも氷にあわせた自家製が多く、定番のイチゴのほか、桃やスイカ、ブドウなど旬の生の果実を使い、夏らしい味を豊富にそろえている。
この時期は2時間待ちも覚悟という店もある。並ぶ時は近隣に迷惑をかけないようにマナーを守り、熱中症には気をつけよう。一年中かき氷を出す店も増えており、夏を外して訪れるのも一つの方法だ。
◇ ◇ ◇
調査の方法 スイーツの専門家やかき氷の愛好家など全国でかき氷を多く食べている専門家10人にお薦めの店をあげてもらった。2人以上の推薦があった店を東西に分け、候補リストを作成。かき氷の完成度、コストパフォーマンス、店内の雰囲気の3点を評価軸に順位を付けてもらい、総合評価を点数にした。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)
青柳喬(昭文社まっぷる編集部「まっぷる夏遊び」担当)▽あやの(「トーキョーウジキントキ」主宰)▽あやめ(かき氷愛好家)▽門上武司(フードコラムニスト)▽神谷千佳代(スイートネットワーク代表)▽小池隆介(かき氷コレクション実行委員会代表)▽斎藤愛(スイーツライター)▽chico(スイーツライター)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽山本諭(菓子ジャーナリスト)
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