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働き方・学び方
ダイレクトメッセージ

2013/3/26

ダイレクトメッセージ

レールに乗せるのでなく、子どもたち自身に「やりたいこと」をみつけてほしい

21歳になった阿須加は私が1999年オフにダイエー(現ソフトバンク)から巨人に移籍してからテニスをはじめ、あっというまにのめり込んでいきました。そんな息子がテニスの強豪高校に行きたいと言い出しました。私には彼の実力がどれほどのものかわからなかったのですが、大阪の高校に入学できました。

合宿所に入ってテニス漬けの日々。そして、限界まで自分を追い込んだ結果、肩を壊しました。実家に戻った息子が肩の痛みをこらえていたのが、私にはわかりました。医師に診ていただいたところ、「もう少し続けていたらテニスができなくなっていたよ」。本人は相当ショックだったようです。

その後、再びテニスに打ち込む生活に戻ったのですが、疲労性の目まいなどで入院することになり、妻とも話し合ってつらい結論を出しました。「これ以上テニスを続けても、高校に迷惑をかける。やめるしかない」。ただ、その後、阿須加は千葉の高校に転校しプロテニスプレーヤーを目指すと強く言っていました。それが今では東京農業大学に進学しています。

きっかけは「奇跡のリンゴ」で知られる農家の木村秋則さんの講演を聴いたことでした。今は農業の流通について学ぶ一方、俳優としても一生懸命汗を流しています。

子供たちと過ごして痛感したことがあります。それは同じ一日でも、24時間が過ぎ去る速度は子供たちの方がずっとゆっくり流れている、ということです。失敗も成功も経験した大人は、つらい思いをさせまいという気持ちが先走り、とかくレールに乗せようとするものですが、未来を決めるのは子供本人なのです。

大人ができるのは、せいぜいアドバイス程度。もし、「何がしたいか僕にはわからない」という状態だったら、一度社会に出て、世の中を見てから人生の方向性を決めてもいいと私は思っています。

子供には「今この時」を大事にしてほしい。「やりたいこと」を見極めるには、時に遠回りをもあるはずです。でも、そのもどかしい時間が肥やしになって、初めて子供なりの「やりがい」が生まれてくるのではないでしょうか。

私は勉強ができる方ではありませんでした。家も豊かではなく、ノートも満足に買ってもらえませんでした。だから鉛筆で書いては消し、書いては消しが普通。野球をすることでしか生きていくすべがない、と思っていました。だからこそ、息子や娘には自分が本当に好きで夢中になれることを探してほしいと願うのです。

現時点でそれがないのなら、1年や2年、アルバイトをしながら世間の風に吹かれて見つければいい。世界を旅して見聞を広げてもいい。本当にやりたいことが見つかったとき、誰かの押しつけではない真の努力というものを学ぶでしょう。「やりたいこと」「なりたい自分」がないまま、ただ周りに流されて大学に進学して、それで人生が楽しかったと思えるのでしょうか?

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