新型コロナウイルスの感染が広がったことで、小・中・高等学校の一斉休校や在宅勤務の推奨、大規模イベントの中止などの対策が打ち出され、消費者の生活スタイルに多大な影響をもたらしている。先行して新型コロナウイルスの荒波にさらされた中国では、どのようなトレンドが生まれているのか。トレンドExpress(東京・千代田)が中国のSNS投稿を分析したところ、長引く「巣ごもり生活」への対応が見えてきた。

外出が困難な中、家庭でできるオンラインフィットネスの動画がよく視聴されている
外出が困難な中、家庭でできるオンラインフィットネスの動画がよく視聴されている

 新型コロナウイルスが、人々の生活スタイルに変化をもたらしつつある。日本では、2020年3月2日から全国の小・中・高等学校が一斉休校になり、子供たちは原則として一日中自宅で過ごすことになった。子供を持つ親の中には、やむを得ず在宅勤務などテレワークに切り替えた人も少なくない。外出の機会が減る中、交通機関や外食の利用客は目に見えて減少。一方、ネット動画配信や宅配サービスへのニーズは高まっているとみられる。

 一足先に新型コロナウイルスの災禍に見舞われた中国では、人々の生活がどのように変化しているのか。中国の消費者ビッグデータをベースにマーケティング支援などを手掛けるトレンドExpressは、中国版ツイッターといわれる「新浪微博(Weibo)」、中国版インスタグラムといわれる「小紅書(RED)」などSNSに投稿された口コミを分析。「家の中でしていること」と「欲しいもの」の2項目について、3つのランキングをまとめた。対象となったのは、20年1月20日~2月9日までの約1337万件の口コミだ。

 まず、家の中で何をしているのかを見ていこう。これは「家」「家の中」「部屋」「部屋の中」に相当する中国語表現と、その前後の動作に関する表現が記載された投稿を抽出したものだ。

家の中の行動はほとんど暇潰し

 1位から10位までを見て明らかなのは、3位の「仕事をする」を除き、すべてが暇潰しの行動であること。中国政府が新型コロナウイルス感染拡大の阻止に取り組む中、多くの人が外出を制限されている。感染が拡大しているとはいえ、全人口からみれば健康な消費者のほうが圧倒的多数だ。自宅から出られない中で、いかに時間を潰すのか苦慮している様子が浮かび上がった。また、8位の「寝る」を除き、すべてインターネットやスマートフォンの利用であるのも特徴だ。例えば、中国のモバイルインターネット調査会社「Quest Mobile」のデータでは、20年春節後のモバイルインターネット平均利用時間は、19年の同時期が1日5.6時間だったのに対して、同7.3時間に達したという。また、「500万フォロワーを持つ在日KOL(Key Opinion Leader)のSNS投稿に対する閲覧数も増えている。例えば、札幌市のカニについて書いた2つの投稿で比べると、新型コロナウイルス発生前の投稿では閲覧数が142万回だったが、発生後の20年2月15日の投稿に対しては308万回もの閲覧があった」(トレンドExpressの濵野智成社長)

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