郊外店、こだわり食品で再生 無印やロフトも取り込み
近鉄百貨店の秋田拓士社長
近鉄百貨店の秋田拓士社長
地方百貨店が苦戦するなか、近鉄百貨店が郊外店のてこ入れを進めている。上層階に専門店を入れ、食品売り場を充実させるなどして集客で一定の成果も出始めた。秋田拓士社長は「地方郊外店の生き残りのキーワードは立ち寄りと回遊だ」と指摘、今後は中層階の見直しに照準を据える。台湾雑貨店の売り場を新たに導入、集客の目玉に育てていく考えだ。
「あべの」巡り 訪日消費再び
――インバウンド消費の状況はどうですか。
「足元は厳しい状況です。中国経済の冷え込みがじわじわ響いています。買い物ツアーで大量に買っていただいたお客様の部分が冷え込んで、客単価が落ちています」
――売れ筋に変化はありますか。
「化粧品が売れなくなっていますね。半年前と現在では全く異なるブランドが売れています。日本の顧客は同じブランドを使い続けますが、中国は移り変わりがあります」
――インバウンドを呼び込む新たな施策は?
「旅行者を誘客するため、新しいエージェントと提携していきたい。ベトナム、フィリピン、インドネシアの客を呼び込んでいきます」
「ハルカスを核としながら周辺の飲食店や名所などと連携してパスポートを作りました。通天閣や四天王寺、キューズモールなどを紹介しながら、特典(クーポン)もつけた冊子を10万部程度配ります。エリアの魅力を発掘、発信して、あべのエリアを回遊してもらう狙いです。地域全体でインバウンド消費を活性化していきたい」
上層は専門店 食品階に流れ
――地方百貨店の閉鎖が相次いでいます。郊外店の状況はどうですか。
「インバウンドの変化で本店が厳しい状況になっている一方で、うちは地方郊外店が堅調なんです。9、10月で本店を除いた店舗合計で入店客数が前年同期比で8.3%増でした。投資の半分ぐらいを地方郊外店の食品売り場に振り向けました。その一環で成城石井のフランチャイズチェーン(FC)加盟店になりました」
――具体的にはどんな改革を進めていますか。
「毎日安かろう、悪かろう、みたいな食品を食べていると飽きてしまうでしょ。食品スーパーは季節感や新商品も少ない。食のクオリティーをあげて、海外や日本全国のこだわり食品もそろえました。客数増に結びついています。ベーカリーは直営でやっていて、売上高も年二ケタ増。FC形式なので利益率も高いです」