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日銀の黒田東彦総裁は「潤沢な資金供給に努める」という談話を発表した

日銀の黒田東彦総裁は「潤沢な資金供給に努める」という談話を発表した

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に市場が混乱する中、各国中央銀行も動き始めたようね。株価や為替の安定は経済にとって重要だけど、中銀に期待し過ぎとの声も聞くわ。副作用はないのかな。注目が集まっているようにみえる中銀の動きについて、小川美紀さんと三浦綾さんが清水功哉編集委員に聞いた。

――主要国の中銀の間で協調的な金融緩和に向けた動きが出てきました。

新型コロナの感染拡大による経済の下振れリスクが、深刻な形で顕在化するのを防ぐためです。各中銀の動きでは、まず日銀が2日、「潤沢な資金供給に努める」などとする黒田東彦総裁の談話を発表しました。上場投資信託(ETF)の購入も普段より増やしたのです。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁も「的確な措置を取る用意がある」と言明しました。

3日には、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が共同声明をまとめ、「あらゆる適切な政策手段を用いる」方針を打ち出しました。その後、米連邦準備理事会(FRB)が臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、0.5%の金利引き下げを決めました。FRBは必要に応じて、追加利下げする可能性も示唆しました。日銀も一段と踏み込んだ対応に乗り出すのかが注目されます。

――協調的な緩和は効果を発揮しますか。

今のところ、市場の反応には、好意的なケースもあればそうでないケースもあります。日銀がETF購入に積極姿勢を示した日に、日本の株価は上昇しました。一方、FRBの利下げは株式市場からの評価が低く、3日の米株価は下落しました。

市場の反応が分かれるのは、新型コロナの感染拡大のような問題に、中銀がどの程度対応能力を持っているのかがはっきりしないからでしょう。市場関係者には「感染回避のために企業や家計が経済活動を控えるような状況下で、金融政策が有効性を持つのか疑問が残る」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との見方も根強くあります。

――金融緩和に副作用の心配はないのですか。

あります。巨額の国債を買い、短期政策金利もマイナス0.1%にするなど、日銀の政策は従来、文字通り異次元です。マイナス金利政策はECBも採用しています。マイナス幅を拡大する「深掘り」は経済に負の作用を及ぼしかねません。

マイナス金利政策が長引けば、金融機関の経営が圧迫されます。銀行には世の中にお金を巡らせる役割があり、機能低下は経済に悪影響を与えそうです。低金利で私たちの保険や年金の資産運用も打撃を被ります。国の財政規律が低下する懸念もあります。

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