ショッピングセンター進化形 「食×職」でにぎわい
東急モールズデベロップメントの秋山浄司社長
東急モールズデベロップメントの秋山浄司社長
ショッピングセンター(SC)市場が飽和状態にあるなか、郊外で話題の商業施設を手掛ける東急モールズデベロップメント。東京・二子玉川に続き、昨秋にオープンした「グランベリーパーク」(東京都町田市)は想定を上回るにぎわいだ。秋山浄司社長は「SCは買い物に限らず、働く場など街づくりを主導する基盤になる」と進化系モデルづくりを進めていく構えだ。
地方商業施設 構造問題多く
――2019年10月の消費増税の影響はどうですか。
「そんなに高額な商品を扱ってはいないので、増税前に駆け込みが若干あって、11月になったら元に戻りました。東急沿線よりも、地方の施設は高齢化、人口減など構造上の問題でマーケットが縮小し、なかなか厳しい状況が続いています」
――そうした中「二子玉川ライズS.C.」が好調です。住宅立地でオフィスも隣接していて。
「楽天さんだけで1万人(グループ)もの方が働いています。ホテルや映画館もあって、二子玉川駅の乗降客数はライズ開業前の2011年比で1.6倍です。実は私自身、開業前から二子玉川の開発プロジェクトに携わっていまして」
――南町田のグランベリーパークも人出がすごいですね。
グランベリーパークは開業から2週間弱で来館者が100万人を突破した(東京都町田市)
「(前身の)グランベリーモールを17年に閉めたときの最寄り駅の乗降客は1日3万人くらいでしたが、昨年秋のグランベリーパーク開業後は約9万人です。(東急)会長の野本から『ディズニーランドみたいに駅に降りた時から気持ちがガラっと変わるような駅を作れ』という号令もあって駅も大きく変わりました。駅というのは大体、安全第一で後は機能。でも駅に滝を流し、スヌーピーがお客様をお迎えして。駅を出れば目の前に商業施設が広がる。駅名まで変えちゃいました」
――施設もこれまでのSCとは大違いです。
「考え方としては単純にモノを売るSCではなくて街としての楽しさを提供する。コンセプトは『生活遊園地』です、その理念で、ソニー・クリエイティブ・プロダクツさんの理解を得られて『スヌーピーミュージアム』も誘致できました」
――新しいSCの先駆けは二子玉川なのでしょうか。
「二子玉川ライズのコンセプトは水と緑と光。発想は自然と共存したエリアをつくろうと。開業(11年3月19日)したのはかなり厳しい時期で、当時は開発の責任者でした。3月15日にプレオープン、17日にグランドオープンの予定でしたが、3月11日に東日本大震災、計画停電もあって」