もぎたて安心 景色も格別
1位の「やさいの荘の家庭料理 菜ぁ」(山形県鶴岡市)は専門家の半数以上と多くの支持を得た。女将の小野寺美佐子さんは5人の子どもを育てたお母さんでもある。その経験も生かし、「食で健康をつくる」食育の考えに基づいて作る優しい味わいの家庭料理が人気だ。ランキング10店舗のなかで、5つを東北地方の店が占めた。
農園レストランは無農薬または低農薬で育てた穀物や野菜などを使うところが多い。作り手の顔が見える安心感や、忘れかけられた郷土ならではの食材や料理を生かす点などが消費者の支持を集め、各地で増えつつある。
旅行会社もこうした消費者ニーズを踏まえ、従来の大型レストランに代えて素材にこだわる農園レストランを観光地の立ち寄り場所に選んだり、食自体を目的にしたツアーを組んだりしている。
上位に入ったレストランの多くは10年前後、地道な経営を続け評価を得てきたところ。家族経営の店も少なくない。農作業に追われて休んだり、収穫できる野菜によってメニューを変更したりする場合もある。訪れるときに予約し、営業時間なども確認しておくのが望ましい。夏の旅行で近くを訪れる際には足を延ばしてみてはいかがだろう。
◇ ◇ ◇
調査の方法 レストランや地産地消の取り組み、自然農法などに詳しい専門家に、食材を自前の農園や近隣の農家から仕入れて調理するレストランを選んでもらい、お薦めの度合いで順位を付けた。自然を観賞する散策路や温泉の有無、グリーンツーリズムが楽しめるかも評価のポイントにした。選者は次の通り(敬称略、五十音順)
安倍澄子(日本農村生活学会会長)▽唐沢耕(食生活ジャーナリスト)▽金丸弘美(食総合プロデューサー)▽鎌田定宗(小さな流通研究所代表取締役)▽斎藤章一(都市農山漁村交流活性化機構専務理事)▽榊田みどり(農業ジャーナリスト)▽高井瑞枝(トータルフード・コーディネーター)▽高桑隆(日本フードサービスブレイン代表取締役)▽向笠千恵子(食文化研究家)▽山本謙治(グッドテーブルズ社長)▽山際博美(山際食彩工房代表)▽山口怜子(地熱料理研究家)