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日本人初・ポーカー世界王者「勝利の極意は株式投資」 編集委員 小林明

2013/6/7

 2012年6月、米ラスベガスで行われたポーカー世界選手権の「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」という種目で優勝した木原直哉さん(31)。獲得した賞金は約51万ドル(約5100万円)。世界選手権で日本人が優勝したのは史上初めて。東京大学理学部を卒業し、プロポーカー師の道を本格的に歩み始めて2年目の快挙だった。

 ●「不利な局面はじっと耐えてマイナスを最小限に抑え、有利な局面でチャンスを逃さずに大きく勝つのが極意。ポーカーは株式投資や会社経営と同じ」

 ●「焦ってもダメ。カーッと頭に血が上ったらもっとダメ。どんな状況でも、いつもと変わらない平常心でプレーし続けることが大切。クセが出ないように心がけている」

 ●「アマチュア相手なら負けることはない。1週間単位の勝負なら運に左右されることはあるが、1カ月単位ならば絶対に勝てる。勝負は運頼みではなく、力量差が必ず出るもの」

 こんな興味深い持論が次々と口をついて出る。

 今回は、世界王者の栄冠を手にした木原さんに、「確率論を駆使し、リスクに見合うリターンが期待できなければ勝負を避け、リスクに見合うリターンが期待できれば大胆に勝負する」というポーカーの戦術論のほか、世界の頂点に登り詰めた決勝の模様や日常生活、なぜプロポーカー師になったのかなど過去の経緯について語ってもらった。オンビジネス、オフビジネスの様々な場面で役に立つことが多そうだ。

 まずは木原さんの自己紹介に耳を傾けてみよう。

■「頭脳ゲーム」にはまり東大に10年在籍

「世界王者の証し」であるブレスレット

 「もともと、ノーベル賞を取るつもりで東大理学部に入ったんですよ。でも、次第に授業に興味がもてなくなり、マージャンや将棋、バックギャモンなどの頭脳ゲームにはまるようになっていた。そんなとき、友人を通じてついにポーカーに出合ったんです」。木原さんはややはにかみながら、明るくハキハキとした口調で語り始めた。

 東大を留年、休学を繰り返し、10年かかって卒業したという苦労人。

 ポーカーとの運命的な出合いは休学して2年目、つまり、東大に入学してから7年目の2007年のことだったという。「バックギャモンの友人がインターネットでポーカーを対戦している様子を後からのぞき込みながらルールを覚えてしまった……」

■プロポーカー師になったワケとは?

世界選手権でプレー中の木原さん

 小学生のころからソロバンを習い、数字や計算が大好きな少年だった。「塾の講師とバックギャモンで生活費を稼ぐ生活を送っていたが、ポーカーのほうが稼ぎがいいことを知った。インターネット対戦を通じて短期間で海外プレーヤーなどと多くのゲーム経験を積めたことが役立った」と回想する。

 08年、バックギャモンの対戦でモナコに行った際、カジノでポーカーのキャッシュゲームをしたことがある。初めての体験だったが、約7日間で1200ユーロ(約15万7千円)も稼いでしまった。09年には、初めて訪れた米ラスベガスでポーカーのキャッシュゲームをし、約10日間で1万ドル(約100万円)も勝ってしまった。「アマチュア相手だと随分ぬるいんだなと感じた」と木原さん。やはり、ポーカープレーヤーとしての天性の才能があったようだ。

 両親は就職を望んでいたが、大学卒業後、木原さんはそのままプロポーカー師になることを決意する。

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