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政府の未来投資会議は社外取締役の充実を求めている

政府の未来投資会議は社外取締役の充実を求めている

最近、社外取締役に関するニュースをよく聞くわね。そもそもどんな仕事をしているのかな。設置する企業が増えているようだけど、なぜそうした動きが広がるのかな。社外取締役の制度について島田美奈さんと阿部美香さんが、瀬川奈都子編集委員に話を聞いた。

――社外取締役はどんな仕事をしていますか。

社外取締役は企業統治を強化するための鍵を握っています。企業の意思決定の最高機関である取締役会に参加し、社外の視点や専門知識を生かして経営に関する助言をします。経営幹部の選定や解職に関与することもあります。

日本企業ではかつて社内出身者ばかりが取締役に就いていました。社内事情に詳しいという利点はありますが、終身雇用制の下では若い頃の上司と部下の関係がずっと続くことも多いです。そうなると仮に上司が社長に就けば、取締役になっても反対意見を述べにくく、企業統治が機能しない事態になりかねません。そこで空気を読まずに発言してくれる外部の風を取り入れようと考えたわけです。

独立性が重要なので、誰でも社外取締役になれるわけではありません。会社の基本的な仕組みを定める会社法は要件について、その企業の親会社や子会社の関係者ではないことや、取締役などの近親者でないことを定めています。

――設置が強く求められていると聞きました。

2019年12月に成立した改正会社法では社外取締役の設置が義務付けられました。企業規模などの条件はありますが、上場、非上場を問わないのが特徴です。実は上場企業では、15年に東京証券取引所が導入した企業統治指針に基づき、既に社外取締役が置かれています。東証1部上場企業に限れば、19年8月時点で93%が2人以上の独立社外取締役を置いています。

――なぜ設置が求められているのですか。

株主から預かったお金を効率的に使っているか、経営のリスク管理を適正にできているかなど、第三者の目でチェックする必要性が高まっているためです。日本ではかつてそうした役割をメインバンクが務めていましたが、株式持ち合いの縮小により期待できなくなりました。また個人投資家や年金基金など機関投資家の持ち株比率が高まったことで、社外取締役は株主に代わり経営を監視する役割を担うことが期待されています。

安倍政権のアベノミクスの影響もあります。企業統治がしっかりしていることを対外的にアピールできれば、海外の投資資金を呼び込むことで株式市場の活性化にもつながります。ただし日本企業に関する限り、社外取締役の設置状況と企業業績の連動性を示すデータはないようです。

一方、ベンチャー企業では非上場でも、社外取締役を置くケースがみられます。若い起業家が投資を巡る判断や人脈の紹介を期待して、助言者として招いているようです。

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