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新しい相続ルールでは配偶者居住権が盛り込まれた。写真はイメージ=PIXTA

新しい相続ルールでは配偶者居住権が盛り込まれた。写真はイメージ=PIXTA

相続の仕組みが変わったそうね。どんなことが変わったのかな? 妻の立場はどうなるの? どうして今、相続の仕組みが見直されることになったの? 相続について、清水弥生さんと植木樹理さんが田村正之編集委員に話を聞いた。

――大きな法改正があったそうですね。

相続の仕組みを定める民法がほぼ40年ぶりに改正され、2019年から段階的に施行されています。まず19年1月に、自分で書く「自筆証書遺言」が一部変わりました。手書きが基本ですが、財産目録をパソコンなどで作ってもよくなりました。20年7月からは法務局で保管してもらえるようになります。

また19年7月から、亡くなった人の預貯金を引き出しやすくなりました。従来は銀行が死亡を知ると原則、遺産分割協議が終わるまで口座が凍結されましたが、1行150万円まで引き出して、葬儀費用の支払いなどに充てられるようになりました。

今回の改正では、配偶者の立場に関する内容がいくつかありました。19年7月に新設されたのが「特別寄与料」。例えば長男の嫁は相続人ではなく、義理の親の介護を一手に引き受けても、相続財産を受け取れません。でも「特別寄与料」という形で、一般的な介護費用にあたる金額を、嫁が相続人に請求できるようになりました。

20年4月からは、亡くなった人の配偶者が持ち家の自宅に住み続けられる「配偶者居住権」が設けられます。原則として、配偶者が生きている限り住むことができます。

――どうして改正されたのでしょうか。

相続を取り巻く環境は、高齢化で大きく変わりました。1989年には、被相続人(亡くなった人)のうち80歳以上は約4割でしたが、現在は7割です。高齢化に対応して、法も見直されました。自筆証書遺言の財産目録まですべて手書きするのは高齢者には体力的に厳しいという声が、以前からありました。

残された配偶者も高齢化し再婚や就職で新たな人生を切り開くことが難しくなりました。夫が亡くなり、妻と子供で遺産を分ける場合、妻の法定相続分は2分の1。一般的な家庭では、遺産の大半を自宅の不動産が占めることも珍しくありません。子が法定割合の相続を求めると、自宅を売却する必要が出たり生活資金がなくなったりする恐れがあります。相続で高齢の配偶者を保護する必要が高まり、配偶者居住権ができました。

老々介護が増え、夫の親を介護するさなかに夫に先立たれることもあり得ます。法定相続人ではない嫁は介護しても遺産をもらえないので、特別寄与料ができました。

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