一人旅は思いつきでOK 台北1泊2日の弾丸旅日記

2テーマだけ決めて、残りは成り行き任せに

彼方にそびえる台北のランドマーク「台北101」は、明日のお楽しみに取っておこう。一人旅は思いつくまま気の向くままに行動できるのが何より楽しい。とはいえ、夜の行動だけは事前に決めておいた。

1)台湾で大ブームになっているというクラフトビールの店に行く

若いころは、泡が立って酔えれば何でもよかったが、ここ数年は、日本でもブームになったクラフトビールにやられている。普通のビールに比べて、単価は高めだが、じっくり飲めるから、かえって安上がりともいえる。それに私の印象だが、クラフトビールを置いている店の店員さんは「いい人ぞろい」だ。

東京以上に盛り上がっているとも聞く、台北のクラフトビールを飲むのは、今回の旅の主な目的の一つだ。ホテルのフロントで勧めてくれたのは「DRIFTWOOD西門町」という店だった。店の外は「台北の歌舞伎町」という感じだが、店内は「台北の南青山」だった。南国のリゾート感満載の店内は、木とわらと紙でできていた。つたない北京語と英語を駆使して聞いたところによれば、柱や壁、カウンターに使われる木は海岸に打ち寄せた流木を用いているらしい。

店内には地元の若い女性たちと、欧米のカップルの姿があった。店を仕切るのは20代とみえる若者で、求めるビールのイメージを伝えたら、並んだタップ(ビールサーバーの注ぎ口)から、吟味した1杯を出してくれた。

求めた味とどんぴしゃりなことに驚いた。ビールに合わせた、魚とイカを軽めに揚げたおつまみも素敵だった。色も香りも味わいも、すべて異なる4杯を飲み干し、次の目的地に向かった。

2)深夜のライブハウスを堪能する

「台北の西麻布」のような街に到着したときには 夜の10時半を過ぎていた。ライブハウスの場内は沸きに沸いている。

5人のミュージシャンを従えた女性は「台北の友近さん」とも言うべきキャラで、会場を埋め尽くす100人以上の客をガンガン笑わせながら、懐かしのアメリカンポップスなど、耳になじみのある曲を、どうやら現地の台湾語で歌っているようだ。

言葉の意味はまるでわからないが、伸びやかな歌声、テンポ感、洗練された仕草、客とのやり取りは心地よく、ドッカンドッカン受けまくる客の反応にも圧倒された。ホテルへ戻ったのは真夜中の1時過ぎだった。

翌日、目が覚めると、雨が降っていた。ホテルの部屋から大通りの忠孝東路をボーッと見下ろしながら、ブルームバーグのニュースをぼんやり聞いていた。予定していた台北101をあきらめ、なぜか、今は亡き台湾のスーパースターテレサ・テンのヒット曲を口ずさみながら、台北駅地下街の雑踏に身を任せた。

帰国の便が飛び立つ桃園国際空港に早めに行ったら、5種類のクラフトビールが飲めるバーがあった。そこできっちり5杯飲んだ後、久しぶりの台北を後にした。

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜掲載です。次回は2020年1月9日の予定です。

梶原しげる 1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。
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