――企業や消費者にどういう影響がありますか。

メーカーや飲食チェーンなどの自社商品や施設に限定したサブスクは、顧客の囲い込みに役立ちます。たえず新商品を開発し宣伝を打つといった短期決戦型の市場攻略と異なり、鍵となるのは地に足のついた信頼感の醸成です。地球環境や社会問題への配慮も商品価値の一部として顧客に伝えやすくなり、長期的な視点での商品開発や経営判断がしやすくなります。

消費者にとっては、支出だけでなく時間の節約になるのも利点です。忙しい現代の消費者も、お気に入りの企業のサブスクを使えば、買い物であれこれ迷わずに済みます。家具や食材などでさまざまなブランドや生産者の商品をそろえたサブスク専門企業も、利用回数を重ねることで、米アマゾン・ドット・コムのように、いずれ好みやライフステージに合うモノを提案してくれるようになるでしょう。

ただし分野によっては向きません。大手紳士服チェーンのサブスクは短期で終わりました。物販との共食い回避や価格設定などでは、大手企業も模索が続いています。

――問題点はありませんか。

消費者にとっての問題は解約方法のわかりにくさです。手続きが不透明で、解約したつもりなのに引き落としが続いたなどの苦情が国民生活センターに寄せられています。人気の高いモノや店などでは希望しても使えなかった例もあるようです。

解約方法や利用条件を開始前に確認する、最初の無料期間の終了に注意するといった自己防衛策を取りましょう。自分の利用サービスの一覧表を作って、利用頻度を定期点検するのもいいですね。

ちょっとウンチク

身軽な消費、社会変化映す

サブスクリプションというビジネスモデルは短期間に姿を変えてきた。当初は作り手と消費者の長いつきあいが期待された。次は音楽配信など「使い放題」のお得感が注目された。今は気分や家族構成に伴い家具を手軽に換えるなど「消費の多様さ、身軽さ」を支える存在として重宝されている。

働き方や家族のあり方が大きく変わり、生活の場所やスタイルを固定しない生き方が広がる。モノをなるべく持たない暮らしや、長く使うことを前提としないモノ選びが当たり前になりつつある。サブスクの受け入れられ方の変容は、社会の変化を映した結果ともいえる。(編集委員 石鍋仁美)

■今回のニッキィ
 佐藤 香織さん 結婚相談コンサルタント。寝る前にチョコレートを数粒食べる習慣ができた。1日を振り返り、甘い物でほっとするひとときだ。「自分にもルーティンができたのが楽しい」

 金子 美紀さん 最近の悩みは20代の娘たちがそろって「仕事をやめたい」と言っていること。女性も働く流れであり、労働年数も伸びるだろう時代に「どう生きるのがいいのかと考えさせられます」

[日本経済新聞夕刊 2019年12月9日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。