投球? 誰にも教わっていません野球評論家 工藤公康

みなさん、プロのスポーツ選手になる秘訣ってあると思いますか? もしあるとすれば、それは「自分で考えること」だと私は思っています。

プロのスポーツ選手になる秘訣は「自分で考えること」

野球でいえば、私は子供のころからプロの選手のまねをすることが一番の近道だと思って努力してきました。とにかく、プロ野球選手のすべてをまねるように反復練習を重ねてきました。そして、自分が体を動かすことで何が足りないのかを感じ取るようにしてきました。

例えば子供のころ「背筋が強ければ速い球が投げられる」と読んだ本に書いてありました。それ以来、私は背筋のトレーニングばかりを繰り返してみました。本に書かれたことが正解かどうかはわかりませんでしたが、とにかく背筋ばかり鍛えてみました。それを続けている間に、私なりのひとつの答えに、何となくながらたどり着くことができたように思います。本は間違いではなかった、と。

「体全体を使うことができれば」「まるでムチのように全身を動かせれば」――。そうすれば投げても遠くまでボールを届かせることができるのではないか。私の身長は178センチです。プロ野球の投手としては決して体が大きいわけではありません。それでも私は私なりの考えでカーブという球種を磨き、武器にしてきました。

正直に言いますが、私は誰かに投げ方を教えてもらったことはありません。もちろん、一から十まで細やかな指導を受けたこともありません。だからこそ、わかったことがあります。

「大事なことは、自分で考えて、体で感じ、それをオリジナルなものにしていく」ということです。そのプロセスこそ、本当に大切だと思っています。

人の感覚というものは、すべてを知ることはできないものです。だから、成功者の奥義を教えることも、教わることもできないのです。

もちろん、教えてもらうことは大切なんですよ。でも、私は言いたいのです。「ひとつ教えてもらったら、そのほかに自分の力で5つのことを考えなさい」と。練習方法でもいい。自分の体格・性格にあったトレーニングの工夫でもいい。うまくいった時のイメージを膨らませることも大切。こうしたことの積み重ねなのです。

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