頻発する異常気象、対策は? 企業や行政に変化迫る

――取り組みが必ずしも十分でないようにもみえます。

米国のトランプ大統領は、パリ協定からの離脱を国連に通告しました。温暖化対策にお金を投じるのは無駄だというのです。経済成長を損ねる懸念から、思い切った対策を尻込みする意見はあります。

逆に、厳しい目標を課すことによって新しい技術が生まれ社会の仕組みが変わり、温暖化対策と成長が両立するとの考え方もあります。いずれにしても現段階で世界の国々が発表している対策だけでは、2度未満という目標は達成できません。12月にスペインのマドリードで開く第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で対策の積み増しなどが議論されます。

――日々の暮らしでどんなことができますか。

太陽光をはじめ自然エネルギーによる電力の使用やレジ袋、食べ物の容器といった使い捨てプラスチックを使用しないなど、化石燃料に依存しない生活様式を心がけることは対策になります。とはいえ、一足飛びに変えるのは容易ではありません。企業や行政が変わらないと、個人でできることには限りがあります。欧米では、市民団体の存在が目立っています。

スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリさんは、国連で声をあげました。政府に対策を強く求めたり問題解決に前向きな企業の製品を選択したりすることで、世の中の変化を促し、子どもたちの世代によい環境を残すよう努めることはできます。すでに進行した温暖化により、日本国内でも風水害が激しさを増すのは避けられそうにありません。命を守るための防災対策をしっかりすることも大事です。

ちょっとウンチク

思考停止、避けたい

「ホットハウス・アース」という言葉がある。気温上昇がある一線を越えると、南極氷床やシベリアの凍土の融解などが続発し暴走状態になる。人間が温暖化ガスの排出を減らしても温暖化は止まらない。どこに一線があるかわからないので、なるべく気温上昇を抑えたい。国連が「できれば1.5度」と言い出した背景にはこうした懸念もある。

「2度でも実現が困難なのに1.5度など不可能」という声も聞く。現在の延長線上では不可能だろうが、「できない」と言って思考停止になるのは避けたい。「不可能」への挑戦こそ発展のカギではないか。(編集委員 滝順一)

■今回のニッキィ
大坪桂子さん IT(情報技術)系企業勤務。友人からもらい受けたロードバイクで、週末を中心に仲間と50~120キロほどの距離を走る。「風を受け、スピード感の中で風景を味わえるのが何より」

小川美紀さん 金融機関勤務。野菜を使った精進料理を作り、食べる機会が増えている。より本格的な料理を出す京都の寺にも足を運んだ。「自分の体も食べ物も大切にする気持ちが高まった」

[日本経済新聞夕刊 2019年11月25日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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