大震災以降に見直した防災対策 1位は安否確認法
2011年3月に起きた東日本大震災以降、防災対策をどう見直したか――。インターネットで約1000人に聞いたところ、家族の安否確認の方法を決めるなど、非常時のルールを作った人が目立った。ただ「対策はこれから」という人も少なくない。震災から2年の節目に改めて防災の要点をまとめた。専門家が薦める防災アプリも紹介する。
<東日本大震災以降に見直した防災対策>
子供に全地球測位システム(GPS)機能付きの携帯電話を持たせた(高知県の男性、34歳)/恋人の親族とも連絡先を交換した(千葉県の男性、23歳)/スマホのアプリも利用する(神奈川県の女性、35歳)
子供が託児所にいた場合の避難場所を確認した(栃木県の女性、31歳)/安心できる高台の幼稚園に子どもを入園させた(静岡県の女性、31歳)
手元に多めの現金を置くようにした(千葉県の女性、57歳)/郵便局の通帳や小銭を、持ち出し品に入れた(静岡県の男性、55歳)
トイレ用に、ぎりぎりまで捨てなくなった(静岡県の女性、38歳)/雨水タンクも設置、ペットボトルも常に10箱用意(埼玉県の女性、53歳)
避難所生活に備えて模擬体験(熊本県の男性、49歳)/飼い猫と車で3日間ほど"避難生活"をした(滋賀県の女性、49歳)
家屋の倒壊対策の工事を頼んでいる(埼玉県の男性、54歳)/土砂崩れに注意する(石川県の男性、61歳)
体力づくりのためにランニングも始めた(神奈川県の男性、30歳)
日用品(歯ブラシ、生理用品など)を持ち歩く(千葉県の女性、23歳)
自主防災組織をつくり、定期的に訓練を始めた(新潟県の男性、63歳)
近くの高齢者にも声がけし、誘導を心がけている(奈良県の男性、50歳)
12位 防災アプリをそろえた 58人
13位 消火器の使い方を確認した 50人
14位 津波に備えて高台の避難場所を確認した 44人
15位 親族や地域の人と連携を話し合った 42人
▼震災の経験に学ぶ 東日本大震災では、家族と離ればなれになった人の多くが情報を求めるメモを避難所に張り出した。「そんな時に重宝したのは顔写真」(和田隆昌さん)
水分補給しづらい状況では、乾パンよりものどに通りやすいゼリー状の食品やようかんなどが体力消耗を防いでくれる。水道復旧までに便利なのは携帯トイレ。固形処理で節水できる。
▼慌てて帰宅しない 2年前には歩いて帰る人が続出したが「直下型大地震などが起きたときに同じ行動をとったら、危険きわまりない」(松島康生さん)。職場にとどまる覚悟も必要だ。家庭の事情で帰宅を急ぐときはグループで帰るのが望ましい。途中の避難所情報や家族との安否確認法などを整理した虎の巻を作っておくと心強い。1枚の紙に整理して携帯する。市販の防災用品セットには情報記入欄などをまとめた「虎の巻」付きもある。思い通りに帰れないこともあるので「留守宅の家族が安全でいられるように、事前に自宅の対策を徹底しておきたい」(山村武彦さん)。
(注)松島康生(災害リスク評価研究所代表)、山村武彦(防災システム研究所所長)、和田隆昌(西原研究所安全環境設計担当顧問)の3氏の助言をもとにまとめた イラスト 鎌田多恵子
<専門家が薦める防災アプリ>
地図データを通信でその都度入手するのでなく、すべて事前に端末に保存するので、通信障害時にも役立つ
家族の安否を確認するアプリ 「まもるゾウ-防災」(iPhone版、Android版)など
あらかじめ登録しておいた家族との間で、ボタン一つで安否を確認し合う。伝言や位置情報を連絡する機能も
地震などの緊急速報を受け取るアプリ 「防災速報」(iPhone版、Android版)など
登録地域の緊急地震速報などを受け取れる。GPS機能を使い、出張先で現在地の速報を入手できるタイプも
応急手当の情報アプリ 「救命・応急手当の基礎知識」(Android版)など
症状別の応急手当ての仕方をわかりやすく解説。事前に端末に保存するので、通信障害時にも参照できる
SNSアプリ 「Twitter」などSNSごとに、スマホ向けのアプリがある
安否確認や情報収集に役立つ。安否確認に使うなら、事前に家族全員が使いこなせるようにしておきたい
◇ ◇ ◇
調査の方法 東日本大震災以降に出版された防災関連の本10冊をもとに、防災対策35項目を列挙。インターネット調査会社マクロミルを通じて2月14~15日、全国の男女計1030人(20~60代)に、この項目の中から震災以降に見直したものを挙げてもらった(複数回答)。参照した本は次の通り。
「子連れ防災手帖」(メディアファクトリー)、「地震サバイバル100の鉄則」(角川書店)、「死なない! 死なせない! 大震災から家族を守る!」(世界文化社)、「首都直下地震にいますぐ備える本」(河出書房新社)、「女性のための防災BOOK」(マガジンハウス)、「大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド」(法研)、「場面別ビジネスマンの地震対策マニュアル」(中央経済社)、「みんなの防災ハンドブック」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「モノすごい防災グッズ」(ワールドフォトプレス)、「巨大震災その時どうする? 生き残りマニュアル」(日本経済新聞出版社)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。