チーフ・ガンダム・オフィサーも誕生 元気な暴走奨励バンダイナムコホールディングス 元会長 石川祝男氏(14)

キャラクターを生かした「IP軸戦略」で最高益を達成した(2012年4月に設置されたガンダム立像)
キャラクターを生かした「IP軸戦略」で最高益を達成した(2012年4月に設置されたガンダム立像)

2018年6月にバンダイナムコホールディングスの会長を退任した石川祝男氏は、文化の異なるバンダイとナムコの経営統合に誰よりも前向きで、両社の文化融合に尽力しました。石川氏が社員に伝え続けた「元気よく暴走しなさい」というメッセージでした。その石川氏の「仕事人秘録」。第14回ではキャラクターを立てた経営で最高益をあげた時期を振り返ります。

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「元気よく暴走しなさい」とハッパ

会社を立て直すため、キャラクターを主軸とする戦略を前面に打ち出します。それまでは家庭用ゲーム、業務用ゲームといった事業領域ごとに分かれていた組織の壁を取り払い、キャラクター中心に物事を考える「IP(知的財産)軸戦略」です。

統合前のバンダイで始まった仕組みですが、推進役としてIPごとに1人の責任者を任命する場合もあります。例えば「機動戦士ガンダム」の責任者は「チーフ・ガンダム・オフィサー」という肩書です。ちなみに「パックマン」と「たまごっち」の責任者もいます。この責任者に経営陣の権限の一部を与え、中期的な販売目標やマーケティング戦略を立案させます。主体的、機動的に動ける範囲を広げ、元気良く暴走できるようにしました。

統合後のバンダイとナムコには「互いに領海侵犯してはいけないよね」という雰囲気がまん延していましたが、事業部をまたいだ横の連携が活発になりました。国内の30社ほどの子会社を訪れて「もっと暴れなさい」と伝えたこともあります。「個々の集合体がバンダイナムコの強み」がスローガンでした。

IP軸戦略の象徴のひとつとも言えるのが「オリジナル・スターIP事務所」です。7000人の社員からIPのアイデアを集め、社内審査を経て開発に着手するという仕組みです。初回は50件は集まるかなと思っていましたが、実際は3倍の160件でした。

中でもうれしかったのが、会社や部門をまたいだ複合チームの応募がいくつかあったことです。これこそがグループの総力を挙げて戦うという気持ちの表れです。