強いコネは足かせに 転職では弱いつながりこそ役立つ第46回 スモールワールド仮説

安倍首相にメッセージを伝えるには?

問題解決を進める際に大切なのは、自分でコントロールできる事柄に注力することです。一例を挙げれば、自然災害や経済動向は私たちにどうしようもありません。競合他社の動きや市場のトレンドも同じです。私たちにできるのは、これらにどう機敏に対応できるかです。

とはいえ、直接コントロールができなくても、間接的に影響を及ぼすことはできます。たとえば、日本の景気の話なら、経済対策の総責任者である安倍晋三首相に影響を与えることを考えるのです。

実は、首相官邸のウェブサイトには、2000文字以内で意見や感想を受け付けるフォームが用意されています。ただし、「受け付けたご意見・ご感想については、内容に応じて関係省庁に転送させていただきます」(同ウェブサイト)とあるので、安倍首相に届くとも限らないようです。多分、ツイッターやフェイスブックも似たようなものでしょう。

かといって、官邸前で直訴するわけにもいきません。国会議事堂前で大声を張り上げても聞こえるかどうか……。一番確実なのは、誰かを介してメッセ―ジを伝えることだと思います。

「いやいや、そんなコネがあったら苦労しないよ」と思われた方。諦めるのはまだ早いです。皆さんも間違いなく安倍首相へのコネを持っています。試してみましょうか。

あなたがご近所の隣人に相談したとしましょう。隣人が自治会長かPTA会長に。彼(彼女)が市町村長に。首長がどこかの省庁に連絡。中央官庁の役人が与党の国会議員の誰かに。与党議員が自民党幹部に。ここまで来たら、安倍首相に行きつきますよね。こんなふうに、たった6人を介するだけで、どんな人にもたどりつけるのです。

世界はどんどん狭くなってきている

知り合いの知り合いを芋づる式にたどっていけば、世界中の誰とでもつながることができる。これが心理学者、S・ミルグラムが提唱する「スモールワールド仮説(現象)」です。まさに「世間は狭い」というわけです。

しかも、まったく見知らぬ者同士がつながるのに必要な数が、たった6人であることを、手紙を使った実験で明らかにしました。これを「6次の隔たり」と呼びます。

ただし、あくまでも平均であって、6人を介せば必ずつながるわけではありません。顔の広い人(ハブ人材)に当たれば、もっと少ない数でも到達できます。逆に、何人介しても、特定のネットワークの中をぐるぐる回るだけで、そこから出られない時もあります。

伝説の営業マンと呼ばれたJ・ジラート氏によると、人は平均250人とつながりがあるそうです(ジラートの法則)。まったく人脈にかぶりがなければ、間に3人くらいを介することで世界中の誰とでもつながれる計算になります(250の4乗=約40億)

実際、フェイスブック社の調査によると、平均3~4人を介せば目指すユーザーにつながることができたそうです(米国内のみ)。しかも、フェイスブックのユーザー(交流サイト)数が増えるほどつながりやすくなり、今後さらに世界が狭くなることが予想されます。SNSなどの普及によって、スモールワールド化が加速しているのです。

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