とろりとした食感 「チョコレートケーキ」ベスト10
2月14日のバレンタインデーが近づき、店頭にチョコレートの甘い香りが広がっている。最近は家族や友達と分け合えるチョコレートケーキも人気だ。百貨店、または取り寄せで買える商品を専門家が試食し、おすすめを選んでもらった。
イタリア語で「ヘーゼルナッツ味のチョコレート」という意味。断面は5層構造。純度の高いチョコレートを使いしっとりと焼き上げたスポンジに、ジャマイカ産のラム酒を一振りした。スポンジの間にヘーゼルナッツ風味の濃厚なチョコレートクリームをたっぷりはさみ、ミルクチョコレートを絡めた香ばしいナッツを表面に飾り付けている。見た目はイタリアの田舎の家庭の素朴なおやつをイメージした。取り寄せ限定の商品。
「ナッツがカリッと軽快な食感で、香ばしさが口いっぱいに広がる」(chicoさん)、「香ばしいナッツと滑らかなガナッシュのバランスが絶妙」(下井美奈子さん)、「濃厚なクリームとナッツの香ばしさが相まって、ふくよかなうま味が広がる」(下園昌江さん)。
(1)ロングサイズ1890円(2)www.wbolero.com/ (電)077・581・3966
まろやかなエクアドル産、フルーティーなパプアニューギニア産など、それぞれ特徴が違う5つの産地のカカオ豆の風味を1箱で楽しむことができる。
チョコレート、バター、卵などの素材を混ぜ合わせ、「蒸し焼き」という独自の製法で口溶け良く仕上げている。見た目はふっくらとしているが、食感は生チョコレートのようにまったりとしている。一口サイズの個別包装なので職場でも分けやすい。
「カカオの風味、個性を大切に表現している。半生でしっとりとした口当たり」(市川歩美さん)、「産地別に様々なカカオ豆の種類を食べ比べできるコンセプトが楽しい」(chicoさん)。
(1)5個入り1100円(2)www.ma-priere.com/ (電)0422・55・0505
1964年にレストラン「トップス」のデザートとして誕生。持ち帰りたいという要望が多かったことから店頭での販売を始めた。ふんわり焼き上げた卵色のスポンジ生地に、砕いたクルミ入りのクリームを職人が手作業で分厚く重ねた。スイスチョコレートと生クリームを合わせた滑らかなチョコクリームでケーキ全体を飾り付けている。
「ほっとする優しい味わい」(岩谷貴美さん)、「家族で楽しみたい正統派の味」(畔田隆弘さん)、「知名度が高く、手みやげでもらったら誰もがうれしい」(平岩理緒さん)。
(1)レギュラー(4~5人分)1699円(2)全国の百貨店など56店舗
発売から25年以上、味も価格も変わらない人気のガトーショコラ。フランス産チョコレートのコクと香りを大切にするため、粉を極少量に抑え、濃厚でしっとりとした味わいに焼き上げている。豪華な金色の箱入りで、婚礼の引き菓子にも重宝されている。
「高級感のある味わいで素材の良さを感じる。一流ホテルのブランドなので目上の方にも喜んでもらえそう」(平岩さん)、「誰が食べてもうなる、上質で深い味わい」(藤原浩さん)。
(1)1575円(2)ホテルショップ「ガルガンチュワ」(電)03・3539・8086、販売期間10月~6月14日
フランス語で「とろけるチョコレート」という意味の商品名どおり、カカオパウダーをまぶしたハート形のケーキの中から、牛乳ベースの濃厚なコクのある生チョコレートがあふれ出す。
真っ白い箱にリボンを結んだ高級感のある包装で、記念日の贈りものにも向く。
「スポンジの中からフルーティーな生チョコレートがとろーりと溶け出す」(市川文登さん)、「ハート形がかわいらしくバレンタインに最適」(下井さん)、「クリーミーな口溶けは特筆もの」(藤原さん)。
(1)3200円(2)giftcafe.anniversaire.co.jp/ (電)03・5411・2488
パリの歌劇場オペラ座の舞台をイメージし、1955年に発売したというフランスのお菓子。コーヒー風味のバタークリーム、シロップが染み込んだ生地、チョコレートクリームなどの7層を精巧に重ね、金箔も飾られている。
「7層の相性が抜群。パッケージも高級感がある」(畔田さん)、「小さくても味は本格的」(下園さん)。
(1)5個入り1050円(2)大手百貨店など全国の15店舗
たっぷりのメレンゲをやさしく混ぜ合わせ、繊細な軽さとしっとりとした口当たりがある生地に焼き上げている。甘さも油分も控えめ。
「セットで付く生クリームは洋酒の香りがきいていて、おいしいミルクチョコレート味を楽しめる」(小松めぐみさん)
(1)17センチ、泡立てた生クリーム(180グラム)付きで2150円(2)www.joel80.com/ (電)088・831・4732
チョコレートとコーヒーを使ったなめらかなムースの下に、ヘーゼルナッツとキャラメルのクリームや乾燥クレープなどを重ねている。
「濃厚ながら軽い口溶けのムースと、サクサクしたクレープ生地の食感の対比がよい」(下園さん)
(1)1680円(2)www.rakuten.co.jp/ecolecriollo/ (電)03・5917・5233
「チョコレートのようかん」をイメージして作った。風味を出すためにほろ苦いキャラメルを合わせて焼き上げている。口に入れると舌の上でゆっくり溶けていく。
「ねっとり濃厚な食感。やさしい甘さの中にキレがある。ほんの1切れでインパクトと満足感がある」(平岩さん)
(1)1837円(2)(電)03・5731・9477
厳選したフランス産チョコレートに、メレンゲやアーモンド粉などを加え、濃厚なカカオの風味は残しつつ、ふんわりとした食感に焼き上げている。生地の表面は粉砂糖とチョコレートのお酒を使ったシロップで糖衣がけし、サクサクとした食感に。
(1)2000円(箱入り)(2)(電)0467・45・6260、夏季はガトーショコラの販売休止
食感とろり、風味比べて
日本チョコレート・ココア協会(東京都港区)によるとチョコレートの国内市場は年間4千億円余り。その1割以上がバレンタインの時期に売れるという。
ランキングでは、1位の「ノッチョラート」など、生チョコのようなとろっとした食感のケーキが多く並んだ。チョコレートの主原料はカカオ豆。西アフリカや中南米、東南アジアが主産地で、地域や農園、その年の天候によって味が違う。カカオ豆の風味やほろ苦さを生かした商品も多い。
たっぷりのチーズを使ったフラノデリス(北海道富良野市)の「ドゥーブルフロマージュ ショコラ」や、国際大会などで受賞経験があるシェフが手がけるマウンテン(京都府福知山市)の「ザッハトルテ」などを推す声もあった。
「ケーキを温めたり、ベリーやアイスクリームをのせたりと、家庭で思い思いの食べ方をする人が増えている」と、三越伊勢丹銀座店の畔田隆弘さん。ホームパーティーではちょっとした工夫でケーキの味わいが広がりそう。この時期、洋菓子店には多くの注文があるため、お目当ての商品は予約するのがおすすめだ。
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表の見方 地名は本社や本店などの所在地。数字は選者の評価を点数化。(1)価格(送料別)(2)購入先や、取り寄せ先の電話番号、ホームページ(頭のhttp://は省略) 記事中のリンクは掲載時のものです
調査の方法 大手百貨店、または取り寄せて購入できるチョコレートケーキを対象とした。大手百貨店の売れ筋、専門家の推薦などにより22商品を候補に選出。実際に試食をして、順位をつけて選んでもらった。選者は次の通り。(敬称略、五十音順)
市川歩美(ショコラコーディネーター)▽市川文登(明治デザート事業本部「100%チョコレートカフェ」担当)▽岩谷貴美(フードジャーナリスト)▽畔田隆弘(三越伊勢丹銀座店食品営業部マネージャー)▽小松めぐみ(フードライター)▽下井美奈子(スイーツコーディネーター)▽下園昌江(お菓子研究家)▽chico(スイーツライター)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽藤原浩(日本フードアナリスト協会常任理事)
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