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「アイドルマスター」はIP軸戦略のはしりだった(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

「アイドルマスター」はIP軸戦略のはしりだった(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

2018年6月にバンダイナムコホールディングスの会長を退任した石川祝男氏は、文化の異なるバンダイとナムコの経営統合に誰よりも前向きで、両社の文化融合に尽力しました。石川氏が社員に伝え続けた「元気よく暴走しなさい」というメッセージでした。その石川氏の「仕事人秘録」。第11回ではキャラクター事業の立ち上げを振り返ります。

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キャラクターの横展開を事業戦略の中心に

今でこそキャラクターをゲーム・アニメなどに横展開する戦略が主流ですが、以前はこのような考えはありませんでした。そこで当社を代表するゲーム「アイドルマスター(アイマス)」で、コンテンツを軸に部門をまたぐ役職「エグゼクティブプロデューサー」を設けて、ナムコの副社長だった私が就任しました。

アイマスの最初の企画を見た時、「これはダメだ」と思いました。ゲームの仕様が男の妄想の世界から抜け出せていません。ダメ出しは10回以上しました。それでも内容はマニアックになっていきます。

これは料理と同じで一番やってはいけないこと。例えば味付けに塩コショウで足りず、ケチャップとしょうゆを加えます。それでも満足できず、最後にオイスターソースも入れる。どんな味か分からなくなりますよね。それと同じです。

2年ほどの試行錯誤を重ね、チームも疲弊してきた頃、突然「プロデューサーの主人公がアイドルを育て、全国1位を目指す」ことで決まりました。原点に戻ったようなスッキリした新鮮なコンセプトです。

当時、他社の恋愛シミュレーションゲームが人気でした。ナムコは2番手3番手としてこれに続く路線を目指していましたが、別路線のアイドル育成ゲームを作ります。女の子と恋をするのではなく、アイドルとして育成する新しい領域です。

試作機を中野駅近くの店舗に置くと、異様な光景が広がっていました。熱狂的な男性ファンが詰めかけ、店舗は熱気にあふれていました。ほとんど事前情報は出さなかったにもかかわらずです。格闘ゲームやシューティングとは異なる客層でした。

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