それでもアメリカは銃を手放せないのか銃社会の住人の本音(下)

「(事件後に)売り上げは増えている。売る銃が足りないくらいだ」――。米国では政府による銃規制の動きを受け、駆け込み需要が発生しているという。児童20人を含む26人が亡くなったコネティカット州の小学校の銃乱射事件の記憶は生々しいが、一般市民の銃に対する考え方は変わっていないのだろうか。

「銃が売れている」と歯切れのよい口調で語ったのはロサンゼルスの銃販売店「ロサンゼルス・ガン・クラブ」の男性店員だ。

「銃規制が強まると懸念し、様々な人が銃を買いにきているんだ。皆、憲法に保障されている権利を行使しているだけさ。客はこう言うよ。『これは、銃の問題じゃない。それを悪用する人が問題なんだ』とね」

銃の駆け込み需要増

オバマ大統領の銃規制強化の意向を受け、米国内では、規制強化前に銃を購入しようという人が増えているという。「家に一人でいるときなど、銃があると何かあった場合に自分の身を守りやすくなるので安心する」と話すのはオハイオ州の検事、メリッサ・シッフェルさん(30)。「これ以上銃規制を強化すべきではない。規制強化しても、犯罪者はなにかしらの手段で銃を手に入れるだろう。規制強化は法に従う善良な国民から銃を奪うだけだ」と力を込める。

野放しのようにみえる米国だが、銃を携行するには所持するのとは別に免許が必要となるなど、細かな規制もかけられてきた。その流れを知らないと「これ以上規制を強化すべきではない」という発言は理解できそうにない。

オハイオ州の30代の男性警察官も「戦闘に使う高機能な銃は、一般市民に必要ないので規制してもいいと思うが、小型の護身用の銃まで規制しては、自分の身を守ろうとする市民の権利を奪ってしまう。犯罪者は必ず凶器を手に入れる。犯罪者から身を守ろうとする善良な市民への配慮も必要だ」と話す。

オハイオ州に住む1児の母、ローレン・ジャスティスさん(31)は銃を持っておらず、買う予定もないと言うが「規制強化では問題の解決にならない」と話した。「銃所持の権利を脅かされるとなったら、不満に思う米国民が増えると思う。人々のフラストレーションがたまり疑心暗鬼になることで、もっと問題が増え、凶悪犯罪も増えるのではないか。コネティカット州の事件も、銃規制が強化されていたとしても防げたとは思えない」と話す。

銃社会への批判が高まるなかで、全米ライフル協会(NRA)の副会長が発したコメントは日本でも注目された。「こうした事件を防ぐには、全米の学校に武器を持った人を配備して守る必要がある」

あんな事件があったのに、なぜ「みんな持たない」でなく「みんなで持つ」となるのか。“非銃社会”の住人にとってついていけないものがあるが、NRA副会長の発言は業界団体ばかりでなく、米市民の考え方の一面を反映していると見なくてはならないようだ。

注目記事
次のページ
憲法は時代遅れ?
今こそ始める学び特集