さっぽろ雪まつり1位 「冬祭り」見応えランキング
日本各地で冬祭りが本番を迎える。イベントの趣向をこらす「観光祭」から豊作を祈る祭礼まで、見ごたえのある冬祭りを専門家に選んでもらった。
日本を代表する冬の祭典。200基を超える雪氷像が市内3会場に並び、国内外の観光客でにぎわう。メーン会場の大通公園は午後10時まで、サブ会場のすすきのは午後11時までライトアップされて幻想的な雰囲気に包まれる。家族連れには雪遊びが楽しめるサブ会場の「つどーむ」もお薦め。会期の前後も「雪像の製作・解体が隠れた見もの」(山本哲也さん)。使い捨てカイロのほか、空港売店や市内の靴店などで着脱式の滑り止めを準備すると歩きやすい。
(1)2月5~11日(2)さっぽろ雪まつり実行委員会(電話011・211・3341、www.snowfes.com)
なまはげが家々を回る伝統行事と、地元の真山神社に伝わる「柴灯祭」を組み合わせた観光祭。太鼓が鳴り響く中、たいまつをかざしたなまはげが次々に雪山から神社へ下りてくる光景は迫力がある。「なまはげは神の使いで、表情が異なるので見比べるのも楽しみ」(広田憲治さん)。2013年は50周年記念で、例年の倍近い50匹のなまはげが勢ぞろいする場面もある。かがり火で焼かれ、無病息災のご利益があるとされる餅が、最後に配られる。
(1)2月8~10日(2)男鹿市観光商工課(電話0185・24・9141、www.city.oga.akita.jp)
五穀豊穣(ほうじょう)を祈願し、伊豆神社の境内で田楽、舞楽、神楽、猿楽、田遊びなどの舞を徹夜で奉納する。19種類もの仮面はどれも素朴。能や狂言など、伝統芸能の原点ともいえる祭りの姿を今に伝え、民俗学者の折口信夫が「日本の芸能を学ぶものは一度見る必要のある祭り」と評している。「明け方に登場する駒と獅子の愛くるしさも必見」(西嶋一泰さん)。夜中は境内に出る屋台のそばなどで体を温められる。地元の人たちと一緒に舞人に声援を送ると祭りに溶け込むことができそうだ。
(1)1月14日(2)阿南町振興課(電話0260・22・4055、www.town.anan.nagano.jp)
=写真は同町提供
かまくらの中から子どもたちが「はいってたんせ」と声をかけてくる。水神様にさい銭をあげ、子どもたちから甘酒や餅をいただく。ぼんでんは豊作を予祝(前祝い)する行事。「B級グルメの横手やきそばを片手に観覧したい」(木原秀和さん)
(1)2月15~16日かまくら、16~17日ぼんでん(2)横手市観光協会(電話0182・33・7111、www.yokotekamakura.com)
=写真は同協会提供
男性9000人が護符の争奪戦を展開する。「裸祭りの横綱」(八幡和郎さん)。参加すると「熱くて痛い」(山本さん)。観覧席(500~5000円)は西大寺会陽奉賛会で事前に予約・購入が必要。争奪戦参加はネット上でも申し込める。
(1)2月16日(2)奉賛会(電話086・942・0101、www.optic.or.jp/saidaijicci/=岡山商工会議所西大寺支所)
=写真は奉賛会提供
1万5000個のランタン(中国ちょうちん)が市内中心部に飾られ、異国情緒を味わえる。湊公園などの会場にはオブジェが並び、竜踊り、皇帝パレードなどのイベントも続く。幸せを祈る「元宵(げんしょう)団子」など、旧正月のグルメも魅力。
(1)2月10~24日(2)長崎市コールセンター(電話095・822・8888)、同フェスティバル実行委員会(www.nagasaki-lantern.com)
田をならす農具「えぶり」を手に舞ったことからこの名前がある。烏帽子をかぶり、田植えなどの動作で舞う。明治期の建物で披露される「お庭えんぶり」は、名物のせんべい汁も付く(1月10日から前売り、1人2000円)。
(1)2月17~20日(2)八戸観光コンベンション協会(電話0178・41・1661、www.hachinohe-cb.jp)
=写真は同協会提供
神倉神社から、たいまつにご神火を分けてもらった白装束の男性たちが駆け下りる。
(1)2月6日(2)新宮市観光協会(電話0735・22・2840、www.shinguu.jp)
=写真は同協会提供
愛知県北東部の山あいに鎌倉時代から伝わる神事。徹夜で約40種類の舞を奉納する。
(1)11月から順次開催、最後が東栄町布川地区の3月2~3日(2)東栄町経済課(電話0536・76・1812、www.town.toei.aichi.jp)
=写真は同町提供
国東半島の天台宗の諸院に伝わる火祭り。「仏教でこうした行事は珍しい」(茂木さん)
(1)2月16日(2)豊後高田市観光協会(電話0978・22・3100)、国東市観光協会(電話0978・72・5168)
=写真は豊後高田市提供
太陽の力が弱まる時期、衰えた生命を再生
さっぽろ雪まつり(1位)は観光祭の代表格。写真家の芳賀日向さんは「ツアーや宿泊先も充実しているので入門編としてお薦め」と話す。一方で、古くからの冬祭りの多くは「太陽の力が弱まるこの時期に、衰えた生命を再生するために行われてきた」(茂木栄・国学院大学教授)。清められた火が人々に伝えられる火祭りや、清浄な姿で再生を祈る裸祭りが多いのも冬の特徴。厳寒の夜に響く勇壮な太鼓には、復活への願いがこめられている。
伝統的な祭りには、戸外で翌朝まで続く"上級者向け"もある。新野の雪まつり(3位)や花祭(9位)は研究者が注目する希少な祭りだが、かがり火の煙が目にしみる神社で眠い、寒い、煙いの「三むい」の洗礼を受ける。
宿泊先などは早めの手配を。会場が小さく参加を制限している祭りもあり、情報収集をしておくのが望ましい。
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表の見方 数字は選者の評価を点数化。(1)開催日(2)問い合わせ先やホームページ(http://は省略) 記事中のリンクは掲載時のものです
調査の方法 1月14日から2月28日までの冬祭りを順位付けしてもらった(花祭は最終が3月だが、冬に継続開催されるため対象とした)。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
加藤健司(鶴岡八幡宮教学研究所所長)▽木原秀和(日本旅行経営管理部)▽佐野雅則(サイト「祭にっぽん」管理人)▽西嶋一泰(「民俗芸能STREAM」代表)▽芳賀日向(祭り写真家)▽広田憲治(お祭り画家)▽村田清史(近畿日本ツーリスト個人旅行事業本部カンパニー)▽茂木栄(国学院大学教授)▽山本哲也(お祭り評論家)▽八幡和郎(徳島文理大学教授)▽渡辺将成(阪急交通社九州営業本部メディア営業部)
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