他人の考えコピペしない 自分で工夫する創造的人材社会課題を解決するにはどんな人材が必要か(2) 竹内薫氏に聞く

これからの社会課題を解決する人材とは?  美学の視点をもつ山口周氏とサイエンスの視点をもつ竹内薫氏。時代を鋭い目で見つめる2人にうかがった。

他人の考えをコピペせず、自分で考え、行動する。
クリエイティブな発想をもつ人材こそがこれから人類が遭遇する新しい社会課題を解決できる

自分で判断し工夫する人材しか生き残れない

AIとIoTといった技術革新による「第4次産業革命」が目前と言われています。車社会では自動運転の実用化がもう間近に来ていますし、コンビニでは画像解析技術のおかげでレジ業務がなくなる日が来るといわれています。医療の世界では膨大な学術論文をAIが学習して、難病の治療方法をアドバイスすることが可能になってきています。こういった「第4次産業革命」による変化は、一般に予想されている時期より前倒しでくるのではないかと、私は見ています。さまざまな仕事が機械に取って代わられる現代に活躍できるのは、はたしてどんな人材でしょうか。当然ですが、答えは「パターン化できない仕事ができる」ことに尽きます。自ら判断し、独自の工夫を凝らしながら臨機応変に行動する。つまり、クリエイティブな人間になるしかないのです。

こうした人材は、すでに世の中に存在しています。例えば、一流の科学者やベンチャー企業の経営者、クリエイター、スポーツ選手などです。あるいは、企業で立派な業績を上げているビジネスパーソンもそう。彼らは人の考えをコピペせず、自分で考え行動することで地位を築いています。彼らこそ、社会課題を解決できるクリエイティブな人材なのです。

私が校長を務めるフリースクールの「YESインターナショナルスクール」では、従来の暗記型学習から脱却し、本質的な思考力を養うカリキュラムにしています。例えば「3人の論理学者」(異なる色の帽子をかぶった3人の論理学者を縦に並ばせ、自らの帽子の色を推理させる)という論理パズルや、雪の上に残ったタイヤ跡から自転車の走った方向を考えさせる問題(ベクトルなどの考え方が必要)などを、子どもたちに5~6時間かけて議論させます。子どもたちはこの過程を通じ、どのように頭を働かせれば課題解決できるのかを学びます。同時に、数学や論理学、英語、プログラミングなどの知識を身につけていきます。「アクティブラーニング」、あるいは「プロジェクト学習」などいろいろな呼び方がありますが、要はクリエイティブな発想をし、行動できる、これからの時代に役立つ人材を育てているのです。

大学は外部の人材を取り込み変革を目指すべきでは

こうした教育を実践している私からすれば、今の日本の大学には不満があります。幕末に生まれた私塾の中には、後に大学へと変貌したところがたくさんあります。でもその多くは、当時もっていた進取の精神を忘れてしまったのではないでしょうか。

もちろん、現状に危機感を覚えて変わろうとしている大学もあるでしょう。しかし歴史を振り返れば、閉じた組織が内部からの圧力だけで自己変革するのは難しいとわかります。そこで大学に提案したいのが、外部の人材を取り入れて変革を目指す道です。

GAFAのような企業では、会社の規模が大きくなると、外部のベンチャーを買収して新陳代謝を起こそうとします。大学にも、そうしたオープンイノベーションの発想が有効でしょう。小さな私塾を吸収する、社会人経験豊富な教員を数多く採用するなど、大学外の異分子を取り込むのです。そうすれば学内が活性化し、教育改革が進む可能性はグンと高まるでしょう。そして、社会課題の解決に役立つ人材も育てやすくなると思うのです。

Text:白谷輝英 Photo:大平晋也

たけうち かおる●1960年東京都生まれ。筑波大学付属高等学校卒業、東京大学教養学部教養学科・理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程で高エネルギー物理学理論を専攻。サイエンス作家としての著書も多数。また小学生を対象にしたホームスクールYES International School を開設し、自ら国際社会で活躍する人材育成も手掛ける。

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