社長に「ヒットしたら謝れ」 ゲーム開発で浮き沈みバンダイナムコホールディングス元会長 石川祝男氏(7)

ライバル部署同士のヒット競争

一方の開発一部は私たち以上にヒットを連発。製品発表会で開発一部の幹部に言われた「こんなものか」という捨てゼリフは悔しかったですね。

両部が参加する宴会の席で、開発一部の部長が「ナムコを動かしているのは我々だ。二部の機械はダメだ」と言うんですね。私は部を代表する部長でした。そこまで言われる筋合いはないし、部員の前でそんなことを言われて黙ってはいられません。「表に出ろ」と騒ぎになりかけたのを役員がなだめてくれました。

ゲーム機の失敗で、会社に損害

ゲーム機はお店に買ってもらい、お客さんに100円玉を入れてもらわなければなりません。開発側とお客さんが考える面白さは違うという厳しさもあります。

思い込みで多くの失敗をしました。私が考案した「ドキドキギャルゲーム」は悲惨でした。光ったボタンを押すゲームですが、失敗すると風船がどんどん膨らみ、割れるとゲームオーバーです。

事前調査もせずに試作機を大阪のゲームセンターに置きましたが、誰も見向きもしません。今の金額に換算すると1億円に相当する開発費や人件費が無駄になってしまいました。

会社に大きな損害を与え、もう後がありません。そんな中で開発したのが「ワニワニパニック」でした。

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石川祝男
いしかわ・しゅくお 1978年関西大文卒、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)入社。2006年バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)社長に就任。09年バンダイナムコホールディングス社長、15年会長、18年6月顧問、19年6月退任。山口県出身。

[日経産業新聞 2018年10月12日付]

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