会社の半数は20年で消滅 「ウチは大丈夫」が命取り第42回 正常性バイアス

「寄らば大樹の陰」は本当か?

営利企業にお勤めをしている方や、自分で企業を経営している方に、失礼を承知でお尋ねしたいことがあります。その会社、つぶれる心配はありませんか。

「そんなこと、あるわけない」「まさか、ウチの会社が」と思われる方が大半だと思います。そりゃそうです。「寄らば大樹の陰」と思うからこそ会社勤めをしているのですから。でも、ありえないと思って油断していると、大変な目に遭うのは自分自身かもしれませんよ。

少し古いデータになりますが、中小企業庁が企業の生存率を調べています(中小企業白書2011年)。今ある企業が何年後にどれくらい生き残っているかを計ったものです。

それによると、年を追うごとに着実に生存企業が減っていき、10年後に7割、20年後に5割という数字になっています。つまり、20年経てば、何らかの理由で半数が消滅しているわけです。

中小企業といっても、帝国データバンクの資料が元になっているので、比較的大きめの会社です。零細企業や個人事業を入れると、もっと数字が悪くなることは間違いありません。

なかには「ウチは大企業だから大丈夫」という方もいるでしょう。たしかに上場3665社(2019年4月)は、年に数社(0.1%程度)しかつぶれません。でも、リーマンショックのような事態が起こると85社(約2%)に急増します。結構大きな数字だと思いませんか。

それに、シャープ、三菱自動車、東芝など、破綻は免れたものの、大きな経営危機をむかえた著名企業はたくさんあります。環境変化の激しい昨今、何が起こっても不思議ではないと思っておくほうが賢明ではないでしょうか。

「笛吹けど踊らず」の苦い経験

私は、以前勤めていた会社で大きな経営危機を味わったことがあります。

市場環境が大きく変化するなか、商品開発の方向性を見誤り、会社の屋台骨を揺るがす事態になりました。当時、経営企画の仕事をしており、「さすがにこれはヤバい」「下手をすればつぶれるぞ」と、背筋が凍る思いをしたのをよく覚えています。

ところが、社内で警鐘を鳴らして回ったものの、反応は芳しくありませんでした。「大げさに騒ぎ過ぎ」「そんなことあるはずがない」と異口同音に言うのです。過去にも同様の事態に陥ったことがあり、当時を知っているベテランほど、「今度もきっと大丈夫」と悠然と構えているのです。この手の話、どこかで聞いた覚えはありませんか。