これまでパーセプションチェンジの重要性を説いてきたが、第3回は少し視点を変えてみよう。「パーセプションとクチコミの関係」についてだ。商品やサービスに対する認知と認識のずれを「パーセプションギャップ」と呼ぶ。このパーセプションギャップによりヒットしたのが森永製菓の「森永ラムネ」だ。

森永製菓のロングセラー商品「森永ラムネ」はブランドに対する認識とのギャップによって再び大ヒットした
森永製菓のロングセラー商品「森永ラムネ」はブランドに対する認識とのギャップによって再び大ヒットした

 パーセプションチェンジの好事例として紹介したアミューズメントパーク「サンリオピューロランド」だが、運営会社のサンリオエンターテイメントの小巻亜矢社長は自著(『来場者4倍のV字回復! サンリオピューロランドの人づくり、ダイヤモンド社』)に、こう記している。「『ピューロランドは、子どもが行く場所じゃなかったの?』 そう意外に思ってもらえれば成功です。意外性が大きいほどインパクトが強くなり、若い人たちの興味や関心を引くことができます」。

 つまり、良い意味での「裏切り」だ。こういうものだろうと思い込んでいたものが、実は違った。しかも意外な方向に。これがクチコミを誘発する引き金になる。この現象は、よく知られた商品やサービスに起こりやすい。そもそも認知がある程度なければ、認識のギャップが生じることは少ない。このことから、パーセプションギャップによるヒットは、世の中によく知られた認知率の高い商品で生まれることが多い。

 その好例が、森永製菓の「森永ラムネ」だ。45年の歴史を持つロングセラーブランドが大ヒットした裏側には、パーセプションギャップ効果が存在している。

 5年ほど前に「森永ラムネが二日酔いに効く」というクチコミがSNSで話題になったことがヒットのきっかけとなった。そうしたクチコミをメディアが取り上げたり、「二日酔いには、ブドウ糖90%のラムネを食べるのが良い」と医師もブログで推奨したりしたことで、ラムネの効果は世の中に広がっていった。

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