中国、なぜ「異形の大国」? 成長しても民主化進まず

――「異形の大国」と呼ばれることがあるそうですね。

一党独裁体制なので、民主主義の先進国からみると違和感を覚える点があります。共産党政権は工業と農業、科学技術、国防の「4つの近代化」を目指し、大きな成果をあげてきました。一方、70年代末に民主活動家の魏京生氏が「第5の近代化」として訴えた民主化は、40年あまりたっても実現していません。

ダライ・ラマ亡命につながった59年のチベット動乱や60~70年代の文化大革命、89年の天安門事件、99年の法輪功弾圧、2009年にウイグル人デモ隊と当局が衝突したウルムチ騒乱と、たびたび国民を武力で抑えつけています。

最近はIT(情報技術)の進歩で個人情報が詳細に把握されやすくなりました。キャッシュレス決済のデータで生活や行動がつかめます。監視カメラの顔認識などの性能も上がっています。

豊かになった半面、格差は大きいのが実情です。都市住民と農村住民は戸籍が違い、出稼ぎにきた農民は社会保障や子供の教育も十分に受けられません。農村出身者を強引に立ち退かせて都市開発するなど、社会の不平等が効率的な発展につながっている皮肉な側面もあります。

経済が発展すれば民主化する、との期待から、米国はじめ先進国は技術移転などの支援をしてきました。でも最近は、中国はむしろ新たな覇権国家を目指している、といった見方が強くなっています。さながら文明の衝突の様相も呈していて、これが米中貿易戦争の背景ともいえます。

――民主化の可能性はないのでしょうか?

旧ソ連のゴルバチョフ元書記長や台湾の李登輝元総統のように、政権内部から改革者が現れて民主化した国があります。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は1953年生まれ。共産党総書記の任期は2022年までです。もしかすると将来は、党内部から改革の機運が生まれるかもしれません。

ちょっとウンチク 政治が描き変える建国の瞬間

1949年10月1日、北京の天安門の上で毛沢東は中華人民共和国の成立を宣言した。この歴史的瞬間を描いた董希文の「開国大典」は、数奇な運命をたどった油絵だ。

当局の依頼で董が絵を描き上げたのは50年代前半。その後、50年代半ば、60年代、70年代と、3回も描き直しを求められた。3度目は董が病気で弟子が作製。董の没後、4回目の「修正」が必要とされ、新たな複製が作られた。

度重なる「修正」の原因は政治変動だ。失脚した要人やときの権力者に恨まれた故人が画面から消えた。歴史に対する共産党政権の姿勢がわかる「名画」といえる。(編集委員 飯野克彦)

■今回のニッキィ
洲崎 理差子さん 団体職員。歴史小説を読み、読書記録用の手帳に感想などを書いている。とくに好きな時代は蘭学が日本に入ってきた江戸中期。「生活や仕事にも新鮮なヒントをもらえます」
飯尾 庸子さん 主婦。近所にある24時間営業のスポーツクラブにほぼ毎日通っている。テレビを見る時間をウオーキングなどトレーニングにあてることにした。「今では第2のリビングです」

[日本経済新聞夕刊 2019年9月9日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


次世代リーダーに必要な3つの要素を身につける講座/日経ビジネススクール

若手・中堅社員向け!ビジネスの現場ですぐに役立つ実践講座

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧