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ワケありと先に告げて信頼得る 仕事トークの必勝テク 第41回 両面提示の法則

2019/9/11

■二つの説得技法を使い分ける

人を説得する際に、常に両面提示が一面提示より優れているわけではありません。どちらを使うかは、状況によって変わります。

両面提示がもっとも効果的なのは、相手が対象に興味や知識を持っており、しかも自分で判断できる力があるときです。そんなときは、メリットとデメリットを包み隠さずに伝えたほうが、こちらの信用を高めることにつながります。

相手が物事を深く考えるタイプのときや、互いの信頼関係ができていないときも、両面提示をしたほうが納得感につながります。相手を合理的に説得したければ、功罪両面を素直に伝えるのが適しているのです。

その際に、メリットとデメリットの間に何らかの因果関係が説明できると、説得力がさらに高まります。たとえば、「旧モデルだからお安くなっている」「機能が限られているので使いやすい」「経験があまりないから大胆な提案ができる」といった論法です。

逆に、相手がまったく知識を持ち合わせず、専門家のアドバイスが欲しいようなときは、よい話だけを伝えたほうが安心して判断ができます。こちらを信頼しているときはなおさらです。

既に提案を受け入れると決めているときも同様です。下手に悪い話をすると自信が揺らいでしまいます。一面提示は、感情的な説得に向いている方法だとも言えます。

もちろん、いくら一面提示が有効だからといって、必要最小限のデメリットは伝えておかなければいけません。「そんな話、聞いていない!」と後でトラブルにならないためにも。

■メリットを大きく見せるテクニック

さて、ここで皆さんにクイズです。両面提示をする際に、どちらのやり方が望ましいでしょうか。

(1)価格は5割引きとなっていますが、少し傷のある品物なのです。

(2)少し傷のある品物なので、価格は5割引きにさせていただいています。

伝えたい内容はまったく同じです。にもかかわらず、メリットとデメリットのどちらを先に述べるかで、印象がかなり違ってきます。

正解を述べると、一般的には(2)のほうが望ましいとされています。悪い点を先に伝えてから良い点を伝えるほうが、説得には効果的。「親近効果」が働いて、後で与えられた情報のほうが記憶に残りやすいからです。

デメリットを先に述べて印象を落としておいたほうが、後で述べたメリットを実際よりも大きく感じる、とも言われています。「ゲイン・ロス効果」と呼ばれている現象です。ギャップを感じさせたほうが、より輝いて見えるのです。

ということで、今回は説得の代表的な法則の一つである両面提示を紹介しました。営業職の方はもちろん、普段のビジネス・コミュニケーションでも活用してほしい技法です。

ただしあくまでも、損得のバランスがある程度取れているときの話で、明らかに損ばかりの提案には通用しません。使い手の人間性にも依存することも頭の片隅においておきましょう。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

堀 公俊氏・組織コンサルタントが講師を務めるスキルアップ講座/日経ビジネススクール

組織変革、業務改善に欠かせないワークショップの成果を引き出すファシリテーション能力、問題解決のフレームワーク思考力を高める

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