知ってほしい飼い主十戒 心痛む「散歩スマホ」

散歩しながら愛犬に語りかける飼い主は珍しくない。写真はイメージ=PIXTA
散歩しながら愛犬に語りかける飼い主は珍しくない。写真はイメージ=PIXTA

2016年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされたのが「歩きスマホ」で、今回お話しするのは、犬の散歩中に横行している「散歩スマホ」だ。愛犬家の間では「許せない」と息巻く声が少なくない。私もその一人だ。

「散歩スマホ」とは、犬を連れて散歩する際、犬に全く頓着せず、片手に持ったスマホ画面をひたすら眺め続ける、飼い主の態度を表す言葉だ。進む先の道路状況、犬を危険にさらすことなく安全確保するための対策などを、ちっとも考慮せず、空いた片方の手で、リードを面倒くさそうに荒っぽく引っ張るケースもしばしば目にする。

自分勝手な見せかけの「散歩」

先日、目の当たりにしたのは、30歳前後とみえる男性による「暴挙」だった。緑道沿いに咲く花の匂いをかごうとしたのか、わずかに顔を横に向けた、まだ若いトイプードルを、ものすごい力でグイッと、犬の体が宙に浮くほど引っ張った。何とむごいことを。

「キュイーン」と切なく声を上げるワンちゃんを、そのまま力任せに引きずって行く。緑道のすぐその先の一般道路と交差する場所では、左右を確認することもなく、スマホ画面に釘づけのまま進む男。左から坂を下りてきた自転車に、ワンちゃんはあわやひかれそうになった。けれど、男性はスマホ画面から一瞬たりとも目を離すこともなく、ひたすらリードを引っ張り続けた。

ここまで無慈悲に見える「散歩スマホ男」にだって、それなりの事情があったのではと、努めて彼の立場になって考えてみた。「散歩スマホ」を「悪」と決めつける前に彼の事情に想像を巡らすべきだと思ったのだ。

例えば彼の状況が以下のようであれば、一概に非難すべきではないだろう。

(1)彼が目にしたスマホ画面に写っていたのは「父危篤、すぐ帰れ、病院の場所は~」と、緊急事態を告げる文言だったかもしれない。

(2)散歩中の緑道は、意図して来た場所でなく、まるで不案内な場所に迷い込んで戸惑い、慌てスマホの地図アプリで、愛犬と共に進むべき道を必死で検索していた可能性はゼロではない。

(3)彼は瞬時に億のカネを稼ぎ出す若きトレーダーで、世界中のマーケットの動きを秒単位で把握する必要がある。それをしないことは、顧客に莫大な損失を与え、金融ビジネスに重大な影響をもたらし、それがひいては日本経済にダメージを与えかねない。そう真摯に考える「愛国の人」だった確率は何万分の一はあり得る。

(4)一見、非道な「散歩スマホ」は、犬猫への虐待防止キャンペーン映像を作成するため、制作スタッフが空撮中で、彼はその役割を全うすべく、心を鬼にして演じていたというケースだって、全く起こり得ないわけではない。