ライフコラム

ニッキィの大疑問

地銀経営、なぜ厳しい? 地方経済停滞・低金利が打撃

2019/9/9

――現状打開への動きはありますか。

コストを削り経営基盤を強化する地銀再編が都市部と地方の双方で相次いでいます。注目事例を3つ挙げます。

第1は18年10月に経営統合した第四銀行と北越銀行のケースです。ともに新潟県を地盤とし、かつては宿敵同士でしたが将来への危機感から県内合併に踏み切ります。

2つ目は18年4月に統合した近畿大阪銀行と関西アーバン銀行、みなと銀行のケースです。近畿大阪はりそなホールディングスの子会社なのに対し、関西アーバンとみなとは三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下でした。大手銀の系列の垣根を越えた再編は前例がありません。

第3は19年4月に経営統合したふくおかFGと十八銀行です。この統合は実現まで曲折をたどりました。公正取引委員会が「統合後に長崎県内での融資シェアが高くなりすぎる」と待ったをかけたためです。「こんなことでは地銀再編が進まない」(金融庁)として、政府は独占禁止法の特例法を設けて再編を後押しする方針を明確にしました。

――今後の地銀経営はどうなりそうですか。

日銀による低金利政策は長期化し、今後も厳しい経営環境が続きます。それでも被災地はもちろん、地域経済を支えるかなめとして地銀の存在は不可欠です。

地銀は3つのグループに分類できそうです。まず経営が安定している有力地銀が十数行。7月には地銀で預金量首位の横浜銀行と2位の千葉銀行が提携に動きました。「強者連合」の触れ込みです。

一方、経営環境がとりわけ厳しく、すでに公的資金が注入されている地銀も約10行あります。今後の焦点は残りのおよそ80行です。単独路線が難しいとなれば、他行との再編を模索することになりますが、それも相手のある話なので容易ではありません。

地域経済の低迷は日本の構造問題でもあり、政府が地銀をつぶすとは思えません。結果的に公的資金の助けを借りざるを得ない地銀が増えても不思議ではありません。

■ちょっとウンチク 「天下り先」魅力薄れる頭取

北海道、千葉、横浜、広島、福岡……。江戸期の大名にも擬せられた大手地方銀行の頭取職の多くをかつては大蔵省(現財務省)と日銀の幹部経験者が占めていた。

流れが変わったのは2000年代以降。監督指針の変更や金融規制の緩和で、地銀は殿様商売の返上と自立を迫られた。大蔵OBの指定席だったコンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀と東日本銀)のトップも昨夏、ついに実務に通じた生え抜きに交代した。

中小地銀など一部に財務省・日銀出身の頭取が残るが、経営環境は厳しさを増す。「天下り先」として、地銀頭取の座の魅力は薄れた。

(編集委員 佐藤大和)

■今回のニッキィ
鈴木 正美さん 学び直しのため各種セミナーに参加している。最近起業塾で知り合った同年代の女性と定期的に交流している。「何かを始めたいという考え方を共有する仲間に励まされています」
鷲見 栄里さん 4年ほど前から、菜園を借りて野菜作りに取り組んでいる。かなりの量が取れるので、家族や近所にも配っているという。「楽しい一方で野菜作りの大変さがよく分かりました」

[日本経済新聞夕刊 2019年9月2日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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