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海岸に打ち上げられたビニールなどのプラスチックごみ(ムンバイ近郊)

海岸に打ち上げられたビニールなどのプラスチックごみ(ムンバイ近郊)

このところ、ストローや包装からプラスチックを追放しようという運動が盛んね。なぜいまなのかしら。

世界で進む脱プラスチックの動きについて大部祐子さん(57)と阿部美香さん(55)が安藤淳編集委員に聞いた。

――盛り上がるきっかけがあったのでしょうか。

海洋に流出したり投棄されたりしたプラスチックを動物たちが飲み込んで傷ついた映像がたびたび流れたせいでしょう。海岸のごみの山もあちらこちらで報告されています。海洋プラスチックの研究は10年ほど前からされていたのですが、人工衛星や船による観測データが集まるようになり、マイクロプラスチックと呼ばれる大きさ5ミリメートル以下のものが広く深く分布していることがわかったのです。

海洋マイクロプラスチックの実態はまだ不明な点が多いですが、世界の海の表面には5兆個が漂っているとされます。何もしないと2050年までに海に出るプラスチックの合計は約10億トンに達し、全ての魚の重さ(約8億トン)を上回るといわれています。こうしたおどろおどろしい数字が不安をかき立て、対策を急がせているのでしょう。

ストローやレジ袋は身近なところにあり、象徴的なのでよく話題になります。しかし例えば日本で捨てられるレジ袋は年に20万トン程度。プラスチックごみ全体から見ると2%程度です。実際にはペットボトルや使い捨て容器、包装の方がずっと多いのです。

――どんな代替品があるのでしょうか。

ストローやドリンク類のカップは紙製への転換が急速に進んでいますね。レジ袋も紙製の採用や、布製のマイバッグの利用促進などの動きが広がっています。これらはいずれ全廃に近いところまでいくかもしれません。

一方で、食品トレーなど産業用はなかなか難しい。プラスチックは強度、安全性、安定性、軽さなど優れた性質を持っています。だからこそ、これだけ広く使われているのであり、それを簡単に変えることはできません。

似たような性質を持ち、かつ土壌中で微生物によって分解される生分解性プラスチックは一つの解になります。しかしコストが高い。あと見落とされがちですが、生分解性であれば生態系に悪影響はないのか。研究も必要です。

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