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知らないと大変!ビジネス法則

念押しこそ逆効果 部下に反発される上司の悪手 第40回 心理的リアクタンス

2019/9/4

■打った対策が火種になりかねない

不正会計、私的流用、情報漏えい、偽装、ハラスメント……企業の不祥事は後を断ちません。その度に、「ルールの徹底」「指導管理の強化」「違反者の厳罰化」が声高に叫ばれます。

たとえば、昨年、航空会社で乗務員の飲酒問題が大きくクローズアップされました。「搭乗24時間前の飲酒禁止」の徹底に加え、年末は一般社員の飲酒自粛令まで出されたそうです。気持ちは分かるのですが、この手の対応が別の問題の火種にならないか心配です。

気になることの一つは、節度を持って飲んでいる人や、乗客の命を預かることのない人に対しても、一律で厳しい目を向けたことです。「連帯責任だ」と言わんばかりに。

ごく少数の逸脱者のために、みんなが迷惑を被る。個人主義の時代に、そんな考え方が従業員のやる気や連帯感を下げることにつながらないでしょうか。下手をすると、「なんで私まで」と納得できない人が、新たな不祥事を引き起こさないとも限りません。

もう一つは、禁止すればするほど、「飲みたい」「何が悪いんだ」という心理を助長しないか、です。禁止されると、かえってやりたくなるものですから。

結果、裏でコッソリと飲まれたら、問題が隠れてしまい、コントロールできなくなります。ルールの抜け穴をつく人が現れると、さらなるルールの強化を招き、イタチごっこが始まります。

良かれと思って打った対策のせいで、かえって問題を大きくしてしまった。解決が難しい問題でよく起こるパターンです。そんな悪循環のループに入らないことを祈るばかりです。

■不倫にはまるにはワケがある

私たちは、たくさんの人と意見や利害を調整しながら、この社会を生きています。時には、こちらの意に従わせるために、説得・強制・禁止などを用いて、相手の思考や行動をコントロールしようとします。

ところが、人は自分のことは自分で決めたいという「自己決定の欲求」を持っています。それができたときに、自分でやり遂げたという「自己効力感」を得ることができます。

そのため、説得・強制・禁止によって自由が制限されると、反発や抵抗をしようとします。これが心理学者J・ブルームが提唱する「心理的リアクタンス」です。

分かりやすいのが、禁止されるほどやりたくなる、「カリギュラ効果」(ブーメラン効果)です。カリギュラという名前の過激な映画が、アメリカの一部地域で公開禁止となり、かえって世間の注目を集めたことから名づけられました。

皆さんも「絶対に見るな」と言われたら無性に見たくなりませんか。「誰にも言わないでね」と言われたら、言いたくてたまらなくなるのではありませんか。ダチョウ倶楽部がつい背中を押してしまうのも、鶴の恩返しでお爺さんが部屋を開けてしまうのも、みんなカリギュラ効果の仕業です。

不倫や禁断の恋にドップリはまってしまうのも、道徳的に許されない行為だから、と言われています(「ロミオとジュリエット効果」とも呼ばれています)。経験のある方は、思い当たる節がないか、胸に手をあてて考えてみてください。

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