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夏休みの宿題も仕事も達成困難 最悪招く計画錯誤とは 第38回 計画錯誤

2019/8/21

■なぜもっと計画的にやらないんだ!

学校の夏休みも残すところあと10日あまり。お子さんの宿題に追われているお父さん・お母さんもたくさんいるのではないかと思います。「なぜ、こうなると分かっているのに、溜めこんでしまうんだ!」と思わず口走った経験が、子を持つ親なら少なからずあるのではないでしょうか。

でも、お子さんのせいばかりとは言えないんです。背景には、人間が等しく持っている心理的メカニズムが働いているからです。そう言うあなただって、同じ罠にはまっているかもしれませんよ。

まったく何もせずに宿題を放置していたお子さんは少ないと思います。子どもなりに、見通しを立てて、計画的に取り組もうとしたはずです。三日坊主で続かなかったとしても、「後で取り返せば大丈夫」「最後に一気に片づけちゃえ」と当人なりの目論見もあったことでしょう。

ところが、宿題なんて、いざ取りかかってみると、思ったほどはかどらないものです。

「こんなの楽勝」と思っていた課題に、予想外に手間がかかったりします。とりあえずやってみたものの、手戻りや手直しも発生します。急な家族行事で出かけたり、体調を崩して寝込んだり、想定外の出来事も少なからず起こります。

その結果、遅れを取り返すどころか、どんどん計画とのかい離が大きくなってしまいます。いよいよ完全に破たんしたところで、親子が一致団結して突貫工事を敢行する羽目になるわけです。

つまり、本当の問題は、毎日キッチリとやらなかったことではありません。そもそもの「見通しの甘さ」にあります。楽観的な計画を立てて、「まあ、できるだろう」とたかをくくっているところに失敗の原因があります。これが今回お話をしたい「計画錯誤」です。

■最悪の予想よりもさらに遅れる

人は、「過去に計画どおり進まずに失敗した経験を持ちながらも、プロジェクトの完成に要する時間を過小評価する」という傾向があります。これを、行動経済学者D・カーネマンらは計画錯誤と名づけました。どうやら、自身もその罠にはまってしまうほど、やっかいなもののようです。

ある時、カーネマンが仲間と一緒に教科書を執筆することになりました(D・カーネマン『ファスト&スロー』)。1年かけて最初の1、2章を書きあげたところで、チームのメンバーにあと何年かかるかを予想してもらいました。

予想は2年前後に集中して、最短で1年半、最長で2年半した。ところが実際は、教科書を完成するのに8年(!)も費やしたのでした。

こんな実験もあります(N・エプリー『人の心は読めるか?』)。卒業論文に取り組む大学生に、作業が中盤に差しかかったところで、完成に要する日数を予想してもらいました。この時点で残された時間は2カ月。最短、現実的、最長の3通りの日数を見積ってもらうことにしました。

学生の答えは、最短で27日、現実的に34日、最長が49日というのが平均でした。ところが、実際には平均55日かかったそうです。「『あらゆることが、もっともうまくいかなかった場合』の日数でも、論文を書き終えられなかった」(同書)のです。学者や大学生でもそうなのですから、子どもが予定通りにできないのは、当たり前ではないでしょうか。

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