探偵に聞きました 浮気の「言い逃れ」の傾向と対策
社内不倫はほとんど周囲にばれているという。写真はイメージ=PIXTA
「自己表現」をテーマにしたセミナーを先日、受講した。講座修了後、10人足らずの参加者同士で名刺を交換してみると、医師、税理士、教育家、広告プランナーなど、実に多様な分野の専門家が参集していた。
見た目や話しぶりと、職業との間には相関があるなどと、うっかり口にすると、「ステレオタイプだ、偏見だ」と叱られそうだが、今回の参加者に限って言えば、名刺の肩書を見て「なるほどねえ」と納得するケースがほとんどだった。
「ほとんど」というのは、もらった名刺の肩書と、見た目や話しぶりが「まるで関係なし」と感じた人が一人だけいたからだ。
探偵の尾行に気づかせない変装
身長は優に180センチを越え、日焼けした肌に真っ白なアロハ風なシャツを着こなした青年が、ちょっとはにかんだ感じで渡してくれた名刺。シャーロック・ホームズに似たイラストと共に、東京都内にある探偵事務所の代表・寺岡佑記と明記されていた。
梶原「探偵さん、なんですか?」
寺岡「ええ、浮気調査や人探しなどを」
梶原「そのルックスだと目立って、業務に支障をきたしませんか? 尾行とか、なさるんでしょう?」
寺岡「仕事では『風景に溶け込む』をモットーにしています」
梶原「風景に溶け込む?」
寺岡「身長を低くすることはできませんが、場所、場面に違和感を生じない身なり、身のこなしで、自分本来のキャラを消し、風景に溶け込む。私の仕事の基本です」
梶原「なるほど。で、たとえば?」
寺岡「ごく簡単に言えば、銀座・大手町界隈の尾行では、ダーク系のビジネススーツ。カッコよすぎず、ダサすぎず、そのエリアでの『平均値的な服・ネクタイ・バッグ・靴、髪型、そして歩き方』をむねとする。渋谷ならおしゃれすぎないジャケットパンツで。要するに街の景色に同化する、溶け込む、ですね」
梶原「なるほど」
寺岡「下町の、たとえば上野あたりで実施する不倫カップルの尾行なら、東南アジア系旅行者を演じる。例えば、頭を整髪料でぺったんこにして、派手目なメガネでリュックを背負ったり、カラフルなスーツケースを引いたりして」
梶原「いますねえ、そういう外国人旅行者の人」