なぜクルマを運転する機会が減ったのだろうレーシングドライバー 中嶋一貴

プライベートには「レース」を持ち込みません。当たり前のことですが、普段の公道での運転はサーキット走行と明確に分けています。時々、友人と一緒にドライブすることはありますが、一人で走りに行くということはまずありません。もちろん、公道でスピードを出して練習することもしません。

普段はごく普通のドライバーだと自他共に認める僕のような人間でも運転していてストレスを感じるのは、なぜなのでしょう。

移動の自由を与えてくれる道具である車は、「動いてなんぼ」だと僕は思っています。だから、渋滞が嫌いです。できるだけ、止まらず、走っていたいのです。ところが、日本では様々な交通ルールや道路事情から、「無駄に止まる」ことが多いのではないでしょうか。

例えば、深夜は誰も通らないような道でも赤信号で止まらなければならない。制限速度が時速100キロの高速道路でも80キロで走らなければならないことがよくあります。これではドライブは楽しめません。楽しめないとなると、長距離の移動はどうしても楽な鉄道や飛行機になってしまいます。

欧州と日本のドライブ環境の違いで感じる最大の違いは、欧州では「車は走って動くもの」という前提で道路が作られていることです。信号は少なく、その代わりに町中には「ラウンドアバウト」があります。ラウンドアバウトは円の中心に近い車が先に行きたい方向に行く優先権を持つという仕組みなのですが、車が他にいなければ止まらなくてもいいので自由に動けます。運転手の主体性に任されているという状況には感動しました。

◆ auto tips 高性能でも走らない…日本のクルマ事情
日本で車がスイスイ走らない状況はデータで一目瞭然だ。1台あたりの年平均走行距離は1万5000キロ超の英国に対し、日本はわずか9896キロ(99年)。日本自動車工業会などによると、東京での平均時速は19キロでミュンヘンの35キロやロンドンの30キロに及ばない。ノロノロ運転の影響か、燃費の新車カタログ値に対する実燃費の比率は日本で64%どまり。91%の米国や94%のドイツと明暗が分かれる。日本ではせっかく車を買っても、モトを取りにくいことになる。安全に配慮しつつ、車を前に走らせるための規制緩和などを議論する余地がありそうだ。
注目記事
今こそ始める学び特集