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知らないと大変!ビジネス法則

職場の希少種は守られる 組織の歯車抜け出す能力とは 第34回 希少性の法則

2019/7/17

面白いのはここからです。別のグループでは、最初に10枚のクッキーが入っている瓶を渡し、2枚入った瓶に交換してから、1枚を取り出して食べてもらいました。たくさんあったクッキーが減っていく様を見せてから、味見をしてもらったわけです。

そうすると、最初から2枚しか入っていない瓶を渡されたグループよりも、好意的な反応をしました。元から手に入りにくいものよりも、あらたに手に入りにくくなったもののほうに、価値を強く感じる性質があるのです。なくなりつつある希少なものこそが本当に大切なもの。だからこそ失われていく世界遺産や絶滅危惧種の保全に全力を尽くそうとするわけです。

■メダルはなぜ金銀銅の順位なのか?

希少性があるものに価値を感じるなら、それをマーケティングで使わない手はありません。典型的なのが限定販売です。

「限定100個の特別仕様です」と数を限定すると、レア物が欲しい人が殺到します。「地元でしか買えない特別商品です」と場所を限定してアピールすると、この機会を逃すまいと財布のひもが緩くなります。「今から1時間だけ100円引き」と時間を限定する手もあります。

それも、最初から少ないのではなく、少なくなってきたという演出が重要です。それが、先ほど述べた著書販売の話です。もともと、サイン&握手付という限定サービスに加えて、「なくなってしまう」という希少性が加味され、ダブルで効いているわけです。

希少性は価値を決めるときにも大切な要素となります。

たとえば、オリンピックで授与されるメダルの順位は金銀銅の順番になっています。それぞれの採掘量と埋蔵量を合わせると、約20万トン、150万トン、5億トン以上となっています。希少なものほど価値があり、値段も高くなるわけです。

四つ葉のクローバーの話も同じです。事故や突然変異によって生まれるもので、1万分の一~10万分の一の確率しかありません。これが五つ葉、六つ葉、七つ葉となるに従って、100万分の1、1千万分の一、1億分の一とどんどん確率が下がってくるそうです。ここまでくると、宝くじで一等を当てるよりも難しくなります。希少だからこそ幸運の印なのです。

■自分だけのユニークな価値を高める

希少性の法則は自分の価値を高めるのにも役立ちます。

皆さんには、自分しかできないと自負できる仕事があるでしょうか。あるいは、自分だけが持っている特別なスキルがありますか。もしそれが組織にとって必要されるものであれば、あなたは価値のある人材のはずです。

持ち合わせていない方は、第1回で述べた「グラッドウェルの法則」(1万時間の法則)を活用して、希少な能力を身につけることに全力を傾けましょう。そうしないと、交換可能な歯車になって、組織に使われるだけになります。

こんな話をすると、「必ず誰かがやっていて、自分だけなんて」という声がよく上がります。たしかに、たとえ英語が少々できたとしても、今や希少にはなりません。でも、英語×マーケティングだとどうでしょう。さらに、英語×マーケティング×会議運営となれば、社内第一人者くらいになれるのではありませんか。掛け合わせこそが希少性をつくりだす格好の方法なのです。

もう一つのやり方は自分の強みを生かすことです。人はどうしても欠けたところに目が行き、短所や欠点を直そうします。それでは、普通の人になるだけで、希少性は生まれてきません。

そうではなく、自分の長所や持ち味を生かし、誰でもない自分を目指すのです。そうポジティブに考えれば、いくらでもユニークな価値のある人材になる道はあるはずです。

堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ファシリテーション入門第2版」「会議を変えるワンフレーズ」など。

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